メールマガジン 2023年5月号
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★ 多元研 メールマガジン ★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2023年5月号 No.214 ━━━
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~ 目次 ~
1) 受賞報告 — 粉体工学会春季研究発表会「BP賞」を受賞
2) 研究成果 — ナノ構造内における強相関電子の量子化条件の特定に成功
~次世代の量子デバイス開発に新指針~
3) 研究成果 — ゴルジ体の亜鉛調節機構を解明
~ゴルジ体亜鉛トランスポーターの機能不全による
病気発症メカニズムの解明に期待~
4) 研究成果 — 光による消毒・殺菌でウィズコロナ社会の公衆衛生に貢献
~深紫外線発光ダイオード(波長275nm帯)の初期劣化メカニズムを解明~
5) 研究成果 — レーザーでグラフェン単層膜のナノ加工に成功
~グラフェンを利用するナノデバイスの開発を加速する要素技術の実現に期待~
7) お知らせ — 「多元研で活躍する女性研究者紹介」を公開
8) お知らせ — RioTinto 技術顧問Karl Malitz氏が本間研を訪問
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1) 受賞報告
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粉体工学会春季研究発表会「BP賞」を受賞
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加納研究室の蛭田大稀さんが、粉体工学会春季研究発表会
「BP(ベストプレゼンテーション)賞」を受賞しました。
受賞題目:
「DEMを用いた高濃度スラリーのシアシックニングに及ぼす粒子径分布の影響」
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/kano/news/1363/
◆加納研究室(機能性粉体プロセス研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/kano/
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2) 研究成果
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ナノ構造内における強相関電子の量子化条件の特定に成功
~次世代の量子デバイス開発に新指針~
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エネルギーが連続的なアナログ値から離散的なデジタル値になる量子化は、
現代のナノテクノロジーの基本となる現象です。近年、強い電子相関をもつ酸
化物においても量子化現象が観測され、この現象を利用した新しい量子物質や
量子デバイス創成が期待されています。しかしながら、酸化物中の強相関電子
と呼ばれる強く相互作用した電子が量子化するための条件がわかっていません
でした。酸化物の類い希な機能を用いたモットトランジスタなどの設計におい
て、このことが大きな障害となっていました。
東北大学多元物質科学研究所の神田龍彦大学院生、志賀大亮助教、吉松公平
准教授、組頭広志教授らの研究グループは、高輝度放射光を用いた角度分解光
電子分光という手法を用いて、酸化物における量子化条件を決定することに成
功しました。
今後、この知見に基づいてナノ構造を設計することで、新たな機能を持つ量
子物質の実現が期待されます。
論文情報:
“Quantization condition of strongly correlated electrons in oxide nanostructures”
Tatsuhiko Kanda, Daisuke Shiga, Asato Wada, Ryotaro Hayasaka, Yuuki, Masutake,
Naoto Hasegawa, Miho Kitamura, Kohei Yoshimatsu, and Hiroshi Kumigashira*
※責任著者:東北大学多元物質科学研究所(教授)組頭広志
Communications Materials
DOI:10.1038/s43246-023-00354-7
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20230510/
◆組頭研究室(ナノ機能物性化学研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/kumigashira/html/
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3) 研究成果
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ゴルジ体の亜鉛調節機構を解明
~ゴルジ体亜鉛トランスポーターの機能不全による
病気発症メカニズムの解明に期待~
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亜鉛は必須微量元素であり、全ての生物の成長、健康維持に重要な役割を持
ちます。一方、消化酵素やホルモンなど多くの分泌タンパク質は小胞体で合成
され、ゴルジ体を経由して成熟化します。
東北大学多元物質科学研究所の天貝佑太助教、渡部聡助教、稲葉謙次教授、
小和田俊行助教、水上進教授らの研究グループは、ゴルジ体の亜鉛イオン濃度
調節の詳細な分子機構の一端を解明し、そのタンパク質品質管理機構における
役割を明らかにしました。研究チームは亜鉛定量プローブZnDA-1Hを用いた濃度
計測により、ゴルジ体内に約60~100nMの亜鉛濃度の勾配が存在することを発見
しました。また超解像顕微鏡用いた観察により、3つの亜鉛トランスポーター複
合体がゴルジ体の異なる層板に局在し、亜鉛濃度、ひいてはERp44の細胞内局在、
輸送、機能を調節することを解明しました。
本成果はゴルジ体の亜鉛恒常性維持の破綻が分泌タンパク質の生合成異常、
ひいては病態発生のメカニズム解明につながることが期待されます。
論文情報:
“Zinc homeostasis governed by Golgi-resident ZnT family members regulates
ERp44-mediated proteostasis at the ER-Golgi interface”
Yuta Amagai, Momo Yamada, Toshiyuki Kowada, Tomomi Watanabe, Yuyin Du,
Rong Liu, Satoshi Naramoto, Satoshi Watanabe, Junko Kyozuka, Tiziana Anelli,
Tiziana Tempio, Roberto Sitia, Shin Mizukami, *Kenji Inaba.
*責任著者:東北大学多元物質科学研究所 教授 稲葉 謙次(大学院生命科学研究科/
理学研究科化学専攻 兼担、九州大学生体防御医学研究所クロスアポイント)
Nature Communications
DOI:10.1038/s41467-023-38397-6
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20230518-2/
◆稲葉研究室(生体分子構造研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/inaba/html/
◆水上研究室(細胞機能分子化学研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/mizukami/
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4) 研究成果
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光による消毒・殺菌でウィズコロナ社会の公衆衛生に貢献
~深紫外線発光ダイオード(波長275nm帯)の初期劣化メカニズムを解明~
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波長280ナノメートル(nm)以下の深紫外線(DUV光、UV-C光)には、殺菌・消
毒による水・空気・表面の浄化や各種物質・反応過程の光励起などへの応用の
道が広がっており、消費電力が高い水銀灯タイプの殺菌灯を低消費電力のLEDに
変えることにより大幅なCO2削減効果が期待できます。窒化アルミニウムガリウ
ム(AlGaN)を発光層とする波長260~280 nmのLED(DUV LED)は多くのメーカーから
市販されています。しかし、使用開始から数十時間で光出力が20~40%も減少す
ることが課題となっています。
東北大学多元物質科学研究所の秩父重英教授と嶋紘平准教授らの研究グルー
プは、DUV LEDの初期劣化の原因を明らかにしました。すなわち初期劣化の原因
はLEDの物理的な劣化ではなく、結晶成長時にAlGaN電子ブロック層中に取り込
まれた水素(H)により不活性化されていた「空孔型点欠陥クラスター」が、LED
駆動中の電界によってHが引き剥がされることにより活性化し、電流損失を引き
起こすためである事を明らかにしました(かさぶたで出血の止まっていた傷から
かさぶたが取れて出血するイメージ)。従って、元々傷が少ない結晶成長を行う、
かさぶたが取れないようにする等の工夫により、DUV LEDの長寿命化・高信頼性
化が期待できます。
論文情報:
“Operation-induced degradation mechanisms of 275-nm-band AlGaN-based
deep-ultraviolet light-emitting diodes fabricated on a sapphire substrate”
S. F. Chichibu*, K. Nagata, M. Oya, T. Kasuya, K. Okuno, H. Ishiguro,
Y. Saito, T. Takeuchi, and K. Shima
*責任著者:東北大学多元物質科学研究所 教授 秩父重英
Applied Physics Letters
DOI:10.1063/5.0147984
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20230519-1/
◆秩父研究室(量子光エレクトロニクス研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/chichibu/html/index-j.html
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5) 研究成果
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レーザーでグラフェン単層膜のナノ加工に成功
~グラフェンを利用するナノデバイスの開発を加速する要素技術の実現に期待~
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優れた物理特性をもつことから「夢の素材」として知られるグラフェンです
が、従来のナノ技術では論文などで提案される種々のグラフェンデバイスを効
率的に作製することは困難でした。これはグラフェンが極限的に薄いシート状
の素材であり、また、表面の汚染や構造の変質に敏感で、デバイスの特性を損
なわずに加工・製造するのが困難なためです。
東北大学多元物質科学研究所の上杉祐貴助教、小澤祐市准教授、佐藤俊一教
授らの研究グループは、フェムト秒レーザーを使って炭素原子1層分の厚さから
なるグラフェン膜を、100ナノメートル(ナノ=10億分の1)以下の精度で加工す
ることに成功しました。また、レーザー照射したグラフェン膜を高性能の電子
顕微鏡で観察したところ、表面の汚染物が除去され、数ナノメートルの細孔や
原子レベルの構造変化を生じさせることができることを発見しました。
これらの知見は、グラフェン素材のエンジニアリング手法の確立に役立つと
ともに、次世代半導体産業や量子科学産業の開拓を加速する研究成果であると
考えられます。
論文情報:
“Nanoprocessing of self-suspended monolayer graphene and defect formation by
femtosecond-laser irradiatione”
Naohiro Kadoguchi*, Yuuki Uesugi*, Makoto Nagasako, Tetsuro Kobayashi,
Yuichi Kozawa, Shunichi Sato
*責任著者:
東北大学大学院工学研究科知能デバイス材料学専攻 修士課程学生 門口尚広(2023年3月修了)
東北大学多元物質科学研究所 助教 上杉祐貴英
Nano Letters
DOI:10.1021/acs.nanolett.3c00594
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20230519/
◆佐藤(俊)研究室(光物質科学研究分野)
http://satolab.tagen.tohoku.ac.jp/
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6) お知らせ
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プレスリリースの訂正について
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国立大学法人東北大学と株式会社日本製鋼所及び三菱ケミカル株式会社の共
同研究によるプレスリリース、「世界最大級のGaN基板製造実証設備で4インチ
GaN結晶の成長を確認~超高効率デバイスの実現に貢献、2022年度から市場供
給開始予定~」において、記事の訂正を行いました。
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_info/20230509/
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7) お知らせ
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「多元研で活躍する女性研究者紹介」を公開
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第3回目は、分析化学、マイクロ・ナノ科学、界面化学、の研究を行っている
福山真央講師に、研究者になったきっかけやメインの研究テーマ、休日の過ごし
方なども伺いました。
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/outline/diversity/researchers/fukuyama.html
◆ナノ・マイクロ計測化学研究分野
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/hibara/html/index.html
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8) お知らせ
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RioTinto 技術顧問Karl Malitz氏が本間研を訪問
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2023年5月25日、RioTinto技術顧問のKarl Malitz氏とリオティントジャパン
株式会社渉外マネジャーの田村浩平氏が本間研究室を訪問し、本間格教授、産
学連携機構 産学共創推進部の渡邊克朗 特任准教授、本間研の大学院生 川﨑栞
さん(M1)を交えてクリーンエネルギー普及に重要な金属資源開発の産学連携研
究に関して意見交換を行いました。
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_info/2023526/
◆本間研究室(エネルギーデバイス化学研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/honma/
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9) お知らせ
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2023年度 新人歓迎会を開催しました
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2023年5月19日に、新しく着任・新任された教職員32名を招いた「新人歓迎会」
がさくらホールにて行われました。参加者は、4年振りの開催を喜びながら、会話
に花を咲かせていました。
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_info/20230522/
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◆多元研|新型コロナウイルス関連情報まとめ
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_info/tagen_covid19/
多元物質科学研究所の教職員、学生を対象とした新型コロナウイルスの
関連情報をまとめていますのでご覧ください。
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暖かい日が続くようになり、外で活動される方も増えてきたのではないで
しょうか。仙台市で行っているウォーキングイベント「お花畑アルーク」が開
催されています。お花や緑が好きな人、歩くのが好きな人、運動不足を感じて
いる人など、どなたでも参加可能です。
参加費無料、予約不要、先着30名!
◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www.city.sendai.jp/kenkosesaku-zoshin/event/ohanabatake-ark2023.html
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◆広報情報室では、講演会、シンポジウム、研究成果など
メールマガジンに掲載させていただける情報をお待ち致しております。
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_/ 発行元:
_/ 東北大学多元物質科学研究所
_/ 広報情報室 022-217-5198
_/ network-tagen[at]grp.tohoku.ac.jp
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