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多元研グリーン戦略

多元研グリーン戦略

 多元物質科学研究所は、世界および本学の向かう方向の研究を強力に推進しています。しかし、社会に向けて取り組みを可視化するには、分野・センターの区分けは学術的な色彩が強すぎる面もあります。そこで、「グリーン未来創造」に向けたアプローチの種別ごとにチーム化して多元研の取り組みをより分かりやすくしました。多元研の各研究分野は、計測・プロセス・材料・生命に大きく区分けできます。先端計測研究を基幹として、プロセス・材料・生命の各分野にGreen 戦略に関わる研究分野が配置されています。
 各研究分野のより具体的なGreen 戦略関連キーワードを示します。Green 未来創造に一緒に取り組みたいという方、多元研にご一 報下さい。

「グリーン」と世界

 科学技術と社会の関わりを含む「SDGs(Sustainable Development Goals)」の策定や、「COP21 パリ協定」の締結といった目標の提示が世界的な潮流となっています。防災に関する国際的な取組としては「仙台防災枠組2015-2030」により、優先行動やターゲットが示されています。
 このような流れの中、政府は2050 年のカーボンニュートラルを宣言しています。そこでは、環境対策を経済の制約ととらえず、社会経済を変革し投資を促す産業構造転換の鍵であると述べられています。具体的に革新的イノベーションを推進するための政府からの呼び水として、基金設立や税額控除などが提案されてもいます。より直接的な政策としても、再生可能エネルギーの拡充、送電線の増強、安全最優先での原子力政策推進、脱炭素ライフスタイルへの転換など「グリーン成長戦略」が示されています。

東北大学とグリーン未来社会創造

 2021 年3 月の「東北大学震災10 周年シンポジウム」の講演の中で、大野英男総長は、東日本大震災以降の本学の取り組みの一端として下記を挙げました。
 2011年 災害復興新生研究機構設置
 2015年 社会にインパクトのある研究の開始
 2017年 指定国立大学への指定と東北大学版 SDGs 活動の開始
 2018年 東北大学ビジョン2030 の策定
 2020年 コネクテッドユニバーシティ戦略の策定
これらの取り組みを、「ともに生きる」グリーン未来社会創造に向けて整理し、東北大学として取り組むべき「11 年目以降のグリーン未来社会の実現」に向けた4 つの方針を発表しました。
 1. あらゆる災害にレジリエントな未来社会の構築
 2. 復興から、個別化予防を可能とする「未来型医療」の実現へ
 3. グリーンテクノロジー研究を深化させ、災害に強く且つ環境に配慮した
  持続可能なグリーン社会の実現へ
 4. 大学の地を活用して地域社会の活性化、地域価値の創造へ
これらを実現する具体的なプラットフォームとして「グリーン未来創造機構」を設立し、
 ● Green Technology
 ● Recovery & Resilience
 ● Social Innovation & Inclusion
の重点分野と、ともに発展すべき学問分野を発表しました。

物質、プロセス、計測の融合で加速するグリーンな社会の形成

Green Material Team

■エネルギー材料の創製
 太陽光発電、燃料電池、熱電変換、Li イオンバッテリー、
 パワー制御半導体などの創省蓄エネルギー材料の重点開発

■新エネルギー源の創製
 バイオマス、廃プラスティックからの水素・炭化水素の製造技術の重点開発

・高度情報通信Gr
   組頭Lab:”グリーンメモリー” ナノキャパシタ構造界面電子状態
   佐藤(卓)Lab:”スピンダイナミクス・構造的起源の解明” 強相関電子系スピン量子物性、
        磁性,強誘電性,マルチフェロイック
   岡本Lab:”超高密度磁気記録” ナノドットビーム

・太陽光発電・利用Gr
   加藤Lab:”エネルギー” 高性能光触媒人工光合成、物質変換
   小俣Lab:”軽量・安全・低コストPV” SnSホモ接合、酸化物新材料

・燃料電池/水蒸気電解Gr
   雨澤Lab:”低温作動化” 電極材料、電極反応オペランド解析
   小俣Lab:”低温作動化” 電解質材料、電極材料、アルコール燃料利用

・蓄電池Gr
   本間Lab:”高容量・高出力化” 正極材料、ナノ構造化
   西原Lab:”高出力化” カーボン系電極、触媒
   雨澤Lab:”全固体化” 電極反応オペランド解析

・省エネ半導体Gr
   福山Lab:”AIN” 高品質、高速、低コスト液相成長
   秩父Lab:”GaN” 高品質、気相成長、アンモノサーマル、欠陥科学


Green Process Team

■脱/減CO2排出
 巨大CO2排出プロセスのCO2排出を大幅に削減するプロセス、
 回収プロセス、固定化プロセスの重点開発

■資源の有効活用と循環
 希少元素に留まらない有価金属の高効率リサイクル技術およびシステム、
 未利用副産物の有効活用技術の重点開発

■1F廃炉と恒久的安全確立
 1F 廃炉の推進に必要なバックエンド工学、および、
 将来にわたる安全を担保する周辺領域を含めた技術の重点開発

・水素・燃料製造プロセスGr
   加納Lab:”バイオマスガス化プロセス” 下水汚泥、メカノケミカル、低温・常圧水素製造法

・資源循環/資源活用Gr
   柴田(悦)Lab:”非鉄金属回収・再利用” 物理選別、乾式製錬、湿式製錬
   山田Lab:”未利用資源の安全活用” 超低熱伝導性熱電変換
   笘居Lab:”炭素循環” CO2資源化プロセス、廃プラスティックガス化プロセス

・次世代プロセスGr
   山根Lab:”フラックス法” 新物質開発
   村松Lab:”触媒” 固体触媒ゼオライト
   蟹江Lab:”ハイブリッド” ナノ構造化プロセス
   亀岡Lab:”金属触媒” 低エネルギープロセス
   本間Lab:”高機能ナノ材料プロセス” 高機能創製プロセス、超臨界
   殷Lab:”ソルボサーマル” 低温合成

・原子力安全化プロセスGr
   桐島Lab:”バックエンド工学” 放射化学、レアメタル
   柴田(浩)Lab:”ガラス固化” ケイ酸塩高温物性
   福山Lab:”高温金属物性” 合金・金属間化合物
   植田Lab:”高温反応・物性” 不純物挙動

・製鉄プロセスGr
   埜上Lab:”反応熱流体解析” 低消費エネルギー化シミュレーション
   柴田(浩)Lab:”酸化物・金属高温物性” スラグ、ケイ酸塩
   植田Lab:”高炉反応” 低エネルギー、副産物利用


Green Life Team

■健康と安全を支える計測技術の開発
 先端的な計測法を基礎原理から深掘りし、未来型医療・感染症克服等につながる
 新たな生体計測術を重点的に開発

■未来型医療の基礎科学構築
 反応化学的観点からの構造生物学・ケミカルバイオロジーを独自に推進し、
 生命化学の基礎解明とそれに立脚した未来型医療への道筋の設計を重点推進

■未来型医療を実現する物質の創製
 新規計測技術の開発・計測技術のイノベーションにより明らかになる科学に基づき、
 未来型医療を実現する物質・材料を重点開発 

・生体高分子科学Gr
   稲葉Lab:”細胞品質管理” 高度計測法、クライオ電子顕微鏡
   南後Lab:”分子動画法” X線自由電子レーザー
   髙橋(聡)Lab:”単一分子科学” レーザー計測折りたたみ

・ケミカルバイオロジーGr
   和田Lab:”外部刺激応答化学” 人工核酸、光計測
   水上Lab:”生体機能探索” 高速診断技術、蛍光プローブ、光制御
   永次Lab:”細胞内遺伝子発現” アンチセンス、miRNA超分子

・バイオ有機材料Gr
   笠井Lab:”ナノ粒子薬剤” プロドラッグ、DDS
   芥川Lab:”多重機能分子集合体” 分子性材料、スピン活用
   髙橋(正)Lab:”物質内電子運動可視化” 分子軌道、電子衝突

・生体デバイスGr
   笠井Lab:”可搬分子デバイス” 蛍光偏光、紙分析
   中川Lab:”ナノインプリント” オンデマンド加工エコポリマー活用
   西原Lab:”電気化学センサー” 電極用カーボン材料、ナノ構造化カーボン材料

・先端生体計測Gr
   百生Lab:”X線位相計測” X線干渉光学系生体軟組織
   矢代Lab:”X線トモグラフィ―” 時間分解計測技術光学素子開発
   佐藤(俊)Lab:”ベクトルビーム” 超解像顕微鏡、フォトニクス


Measurement