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お知らせ
みやぎ県民大学2023を開催しました

多元物質科学研究所では、2023年7月7日、14日、21日、28日、8月4日、5日の6回にわたり、みやぎ県民大学開放講座「ナノ材料の不思議と魅力」を開講しました。
 「ナノ材料」は、原子や分子あるいは身近にあるマクロな材料とも異なる非常に興味深い性質を示します。今回は機能発現機構や、IT・エレクトロニクス、バイオ、環境・エネルギー分野などにおける応用についてやさしく解説しました。

第1回講座「有機分子を使った機能性材料」

 7月7日(金)は、開講式に続いて第1回講座を開催、ハイブリッド材料創製研究分野の芥川智行教授が「有機分子を使った機能性材料」と題して講演し、18名が受講しました。
 有機分子の多様性とその構造を観察して、個性(機能)と分子設計を理解し、新たな機能性を持った材料を開発する研究についてやさしく説明しました。利便性や機能性を上げるために、どのような工夫が必要かなどについて分かりやすく解説しました。途中、クイズを挟みながら、有機半導体、有機物から作られる金属、有機超伝導体などについて、その構造や発見の歴史も踏まえて詳しく解説しました。

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リンク:ハイブリッド材料創製研究分野(芥川智行研究室)

第2回講座「カーボンナノ材料の不思議と魅力」

 7月14日(金)の第2回講座では、ハイブリッド炭素ナノ材料研究分野の西原洋知教授が「カーボンナノ材料の不思議と魅力」と題して講演し、19名が受講しました。
 カーボン材料とはどんなものなのか、主成分や構造、種類、どのような製品や設備に使用されているのかなどについて、画像を用いて分かりやすく紹介しました。木炭と活性炭の粉末を用いた水質浄化実験や、木炭と備長炭を用いて電池をつくる実験も行いました。さらに、西原教授らが開発した最先端のカーボン材料「グラフェンメソスポンジ」について、その構造やユニークな特性について詳しく紹介しました。

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リンク:ハイブリッド炭素ナノ材料研究分野(西原洋知研究室)

第3回講座「最新薬剤ナノ粒子」

 7月21日(金)の第3回講座では、有機・バイオナノ材料研究分野の笠井 均教授が「最新薬剤ナノ粒子」と題して講演し17名が受講しました。
 有機ナノ結晶とはどんなものか、その特徴や応用の可能性について説明しました。笠井教授らが独自に見出した、簡単、迅速、穏和な条件で、分散液状態の有機ナノ結晶を作製することができる「再沈法」と、ナノ薬剤の設計・作製について、ナノ薬剤のドラッグデリバリー戦略について、また、今後の課題などについても紹介しました。再沈法についてさらに詳しく説明してほしい、などの質問がありました。
笠井教授が片平まつり用の衣装で登壇し、和やかな雰囲気での講義となりました。

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有機・バイオナノ材料研究分野(笠井均研究室)

第4回講座「電子顕微鏡を用いたナノ加工・観察技術」

 7月28日(金)の第4回講座では、高分子物理化学研究分野の陣内浩司教授が「電子顕微鏡を用いたナノ加工・観察技術」と題して講演し、18名が受講しました。
 電子顕微鏡の発明の歴史をひもとき、光学顕微鏡と何が違うのか、なぜ原子を見ることができるのか、などについて分かりやすく解説しました。また、ソフトマテリアルとはどんなものか、どんなところに使われているのか、電子顕微鏡を用いてどのように観察できるのかについて、省燃費タイヤといった身近なものに関する技術を例に挙げて、実際の画像を示しながら詳しく説明し、最新の技術についても紹介しました。

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高分子物理化学研究分野(陣内浩司研究室)

第5回講座「次世代ものづくり、ナノインプリント技術」

 8月4日(金)の第5回講座では、光機能材料化学研究分野の中川勝教授が「次世代ものづくり、ナノインプリント技術」と題して講演し、19名が受講しました。
 ナノインプリント技術とはどんなものなのか、技術誕生の背景や、技術開発の歴史、現在どのように活用されているのかについて、ビデオや画像を用いて分かりやすく説明しました。さらに、常識を覆す平面レンズの技術や、最先端のスマートグラスへの応用についても、図や画像を用いて紹介しました。老眼鏡も平面レンズになるでしょうか?といった、身近なものへの応用に関する質問もありました。

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光機能材料化学研究分野(中川勝研究室)

第6回講座「ハイブリッドナノ粒子」

 8月18日(金)の第6回講座では、ハイブリッドナノ粒子プロセス研究分野の村松淳司教授が「ハイブリッドナノ粒子」と題して講演し、17名が受講しました。
 自然や生活の中のコロイド現象をヒントに、新しいナノ粒子合成の研究について分かりやすく紹介しました。温泉や牛乳、お茶、コーヒー、ビール、墨汁など、身近なものを例に挙げて、電子顕微鏡写真なども示しながら、コロイド現象について解説しました。ナノ粒子を用いた最先端技術の例としては、折りたたむことができるタッチパネルディスプレイや、新しい材料を用いたインクなどの構造やプロセスを紹介しました。

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ハイブリッドナノ粒子プロセス研究分野(村松淳司研究室)

閉講式

 8月18日の第6回講座終了後には閉講式を行いました。多元物質科学研究所所長の寺内正己教授から「多元研では、毎年異なるテーマでみやぎ県民大学を開催しています。今回のテーマ“ナノ材料”が、私たちの生活のどこかで確実に役に立っているということを感じていただけたらよかったと思います。」と挨拶があり、5回以上受講した17名の受講者に修了証が授与されました。

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 みやぎ県民大学は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため受講者数を制限し、熱中症防止にも配慮したうえで開催しました。
みやぎ県民大学開放講座「ナノ材料の不思議と魅力」開催案内
       

問い合わせ先

問い合わせ先
東北大学多元物質科学研究所 総務係
TEL: 022-217-5204