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プレスリリース
流動中の磁気スキルミオン格子の変形挙動観測に成功

発表のポイント

  • カイラル磁性体MnSiで形成される磁気スキルミオンが、電流下の流動状態においても格子構造を保つことを確認した。
  • 流動状態においては磁気スキルミオン格子が塑性変形することを観測した。
  • 塑性変形の形状から試料端における摩擦力の存在が示唆される。
  • 本研究で解明された磁気スキルミオンの電流下の流動挙動は磁気スキルミオンを用いた省エネルギーデバイス実現に貢献するものと期待される。
  • 概要

    東北大学多元物質科学研究所の奥山大輔助教、佐藤卓教授、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)のBleuel Markus研究員、スイスパウル・シェラー研究所(PSI)のWhite Jonathan研究員、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のRonnow Henrik准教授、理化学研究所創発物性科学研究センターの田口康二郎グループディレクター、十倉好紀センター長、東京大学の永長直人教授、東北大学金属材料研究所の南部雄亮准教授の研究グループは、カイラル磁性体 MnSiに形成される磁気スキルミオンの電流下の流動挙動を中性子小角散乱によって詳細に調べました。その結果、磁気スキルミオンは駆動中も格子構造を保つこと、さらに試料端付近に生じる摩擦力的な機構により塑性変形を起こすことが観測されました。今回解明された電流下の流動挙動は従来の予想とは本質的に異なるものであり、磁気スキルミオンを用いた省エネルギー情報伝達デバイス実現のために重要な情報であると考えられます。
    本研究成果は、2019年7月11日(日本時間18時)「Communications Physics」オンライン版に掲載されました。
    プレスリリース本文(PDF)

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    図: 中性子小角散乱で観測された磁気スキルミオンからの磁気回折線。磁気スキルミオンが形成する三角格子を反映し、6回対称の反射が観測されている。(a) 試料全体に中性子ビーム照射時に観測される磁気スキルミオン反射。(b) 閾電流密度以上の電流印加時に観測される磁気スキルミオン反射。(c, e) 電流印加前の試料の左端(c)と右端(e)に中性子ビーム照射時に観測される磁気スキルミオン反射。 (a)と同様な反射が観測されている。(d, f) 閾電流密度以上の電流印加時に観測される磁気スキルミオン反射。白点線は電流印加前の磁気スキルミオン反射の位置を示している。右端では時計回り、左端では反時計回りに磁気スキルミオン反射の回転が観測されている。(g) 実験配置の概念図及び中性子ビームの照射位置の説明。


     
    論文情報:
    “Deformation of the moving magnetic skyrmion lattice in MnSi under electric current flow”
    D. Okuyama, M. Bleuel, J. S. White, Q. Ye, J. Krzywon, G. Nagy, Z. Q. Im, I. Zivkovic, M. Bartkowiak, H. M. Ronnow, S. Hoshino, J. Iwasaki, N. Nagaosa, A. Kikkawa, Y. Taguchi, Y. Tokura, D. Higashi, J. D. Reim, Y. Nambu, and T. J. Sato
    Communications Physics2, Article number: 79 (2019)
    DOI:10.1038/s42005-019-0175-z

    関連リンク:
    スピン量子物性研究分野(佐藤卓研究室)
    東北大学

    問い合わせ先

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    東北大学 多元物質科学研究所
    助教 奥山 大輔(おくやま だいすけ)
    Tel:022-217-5349
    E-mail:okudaisu*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

    東北大学 多元物質科学研究所
    教授 佐藤 卓(さとう たく)
    Tel:022-217-5348
    E-mail:taku*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

    (報道に関すること)
    東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
    Tel:022-217-5198
    E-mail:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)