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プレスリリース
3次元放射光ナノイメージングとデータ科学の融合 -酸素吸蔵・放出材料における酸化反応の軌跡を可視化-

 理化学研究所(理研)放射光科学研究センター可視化物質科学研究グループ構造可視化研究チームの高橋幸生チームリーダー(研究当時、現 東北大学多元物質科学研究所 教授)、広瀬真研修生、同グループ元素可視化研究チームの唯美津木チームリーダー、石黒志特別研究員(以上研究当時)、北陸先端科学技術大学院大学ダム・ヒョウ・チ准教授、グェン・ズオン-グェン大学院生らの共同研究グループは、硬X線タイコグラフィとコンピュータトモグラフィ(CT)を組み合わせ、材料試料の3次元空間分解X線吸収微細構造(XAFS)を取得する「3次元硬X線スペクトロタイコグラフィ(3D-HXSP)法」を開発し、データ科学と連携した解析により、酸素吸蔵・放出材料粒子内で起きる酸化反応の軌跡の可視化に成功しました。
 本研究成果は今後、さまざまな先端機能性材料のナノ構造・化学状態分析に応用されるものと期待できます。
 今回、共同研究グループは、2次元空間での試料の高空間分解能化学状態可視化技術である「タイコグラフィ-XAFS法」に、CTの手法を組み込んで3次元空間情報へと拡張した「3D-HXSP法」を新たに開発しました。大型放射光施設「SPring-8」で測定を行ったところ、タイコグラフィの高空間分解能を維持したまま、セリウムを含む試料粒子の3次元空間分解XAFSスペクトルの取得と価数分布の3次元空間可視化に成功しました。さらに、この3次元価数情報を教師なし学習と呼ばれるデータマイニングと連携させることで、試料粒子内部での酸化反応を軌跡として可視化することにも成功しました。
 本研究は、英国の科学雑誌『Communications Chemistry』のオンライン版(4月26日付け:日本時間4月26日)に掲載されました。
プレスリリース本文(PDF)

press_release_190426

論文情報:
“Oxygen-diffusion-driven Oxidation Behavior and Tracking Areas Visualized by X-ray Spectro-ptychography with Unsupervised Learning”
Makoto Hirose, Nozomu Ishiguro, Kei Shimomura, Duong-Nguyen Nguyen, Hirosuke Matsui, Hieu Chi Dam, Mizuki Tada and Yukio Takahashi
Communications Chemistry
DOI: 10.1038/s42004-019-0147-y

関連リンク:
放射光可視化情報計測研究分野(髙橋幸生研究室)
理化学研究所
大阪大学
名古屋大学
北陸先端科学技術大学院大学
東北大学

問い合わせ先

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高橋幸生(たかはし ゆきお)
TEL:022-217-5166
E-mail:ytakahashi*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えて下さい)

(報道に関すること)
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E-mail:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えて下さい)