メールマガジン 2008年 4月号
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★ 多元研 メールマガジン ★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2008年4月号 No.34 ━━━
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~ 目次 ~
2)辞令交付 — ディスティングイッシュトプロフェッサー就任者発表
3) 研究成果 — 巻きづめ合金器具で矯正 東北大グループ開発、臨床試験
4)研究成果 — 超高解像度の光学顕微鏡 東北大研究グループ開発」
5) 研究成果 — 1Åの精度で鏡の表面形状を整える装置の開発に成功
6) 研究成果 — 原子以下の厚さの計測に成功
~軟X 線多層膜ミラー成膜をピコメーターで見る~
7) 研究成果 — 細胞内のタンパク質の働きを探る軟X線顕微鏡の開発に成功
~タンパク質の動きを可視化する~
8) 研究成果 — X 線用の高精細・非球面ミラー光学系を開発
~生きた細胞内部のハイビジョンビデオ観察の実現に前進~
9) 研究成果 — 多層膜の超精密絶対膜厚制御技術の開発に成功
~ナノテクの先 ピコメートル制御技術~
10) 研究成果 — 軟X 線の『水の窓』領域の光学特性評価装置の開発に成功
~世界初のレーザー生成プラズマ光源軟X 線分光計測装置~
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1) 平成20年度 新組織
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多元物質科学研究所 研究分野 紹介
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◆多元設計研究部門
物理機能設計研究分野、表面機能設計研究分野、光機能設計研究分野
金属機能設計研究分野、生体機能設計研究分野、多元設計理論研究分野
物理プロセス設計研究分野、化学プロセス設計研究分野、電磁機能設計研究分野
量子プロセス設計研究分野、複雑系プロセス設計研究分野
◆多元制御研究部門
物理機能制御研究分野、化学機能制御研究分野、バイオ系機能制御研究分野
有機系ナノ構造制御研究分野、バイオ系プロセス制御研究分野
分子機能制御研究分野、多元制御理論研究分野、化学プロセス制御研究分野
分子プロセス制御研究分野
◆多元解析研究部門
物理機能解析研究分野、化学機能解析研究分野、電子機能解析研究分野
複雑系機能解析研究分野、多元解析理論研究分野、物理プロセス解析研究分野
表面プロセス解析研究分野、量子プロセス解析研究分野
複雑系プロセス解析研究分野
◆融合システム研究部門
無機系基盤システム研究分野、無機系ナノ材料システム研究分野
有機系応用システム研究分野、複合系応用システム研究分野
表面機能システム研究分野、プロセスシステム研究分野
多元システム理論研究分野
◆資源変換・再生研究センター
基盤素材プロセッシング研究分野、機能素材プロセッシング研究分野
エネルギーサイクル研究分野、資源変換理論研究分野
資源再生システム研究分野、エネルギー変換システム研究分野
資源再生プロセス研究分野、資源再生理論研究分野
◆先端計測開発センター
軟X線顕微計測研究部、電子回折・分光計測研究部
電子線干渉計測研究部、走査プローブ計測技術研究部
先端計測理論研究部
◆多元ナノ材料研究センター
ハイブリッドナノ組織体研究部、ハイブリッドナノ粒子研究部
ハイブリッドナノ界面研究部、ハイブリッドナノバイオ研究部
◆新産業創造物質基盤技術研究センター
新産業創造物質基盤技術研究センター、材料基盤研究プロジェクト
◆窒化物ナノ・エレクトロニクス材料研究センター
超臨界流体・合成研究部、超臨界流体・反応研究部
活性反応場・合成研究部、デバイス・基板評価・作製研究部
デバイス・基板評価・作製研究部、表界面反応制御・基板作製研究部
産業応用研究部
◆研究教授研究室
多賀研究室、深道研究室、熊野研究室
岡研究室、福田研究室、折戸研究室
◆寄附研究部門
中西研究室、谷研究室、石黒研究室
◆研究所フェロー
早稲田研究室
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2) 辞令交付
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ディスティングイッシュトプロフェッサー就任者発表
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東北大は4日、現職の教授の中から選ばれた者に与えられる
「ディスティングイッシュトプロフェッサー(Distinguished Professor)」を
任命しました。
各専門分野において特にすぐれた業績をあげ先導的な役割を果たして
いる教員に対して付与される、教授より上位の名誉的な称号です。
学外の有識者を含む選考委員会において、選ばれた25人の教授を選考し
多元物質科学研究所からは、宮下徳治教授が任命されました。
◆東北大学プレリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2008/20080404.pdf
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3) 研究成果 ———- 新聞発表
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巻きづめ合金器具で矯正 東北大グループ開発、臨床試験
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東北大多元物質科学研究所の貝沼亮介教授のグループは、超弾性合金を
使い、足の指の巻きづめを矯正する器具を開発した。着脱が簡単で、早け
れば装着から数日後に症状の改善がみられる。
仙台市の病院で臨床試験中で、2009年にも製品化する。
巻きづめはつめが指先の肉に食い込み、痛みが生じる。器具はクリップ
型で指にはめて矯正する。患者自身で着脱できる。数日から数週間で効果
が表れ、自然治癒する。軽症なら医師の治療も要らない。器具は銅とアル
ミニウム、マンガンの合金を使う。ゴムのように伸び縮みする弾力性を有
し、複雑な形状に容易に加工できる。
金属材料メーカーの古河テクノマテリアル(神奈川県平塚市)と共同で
量産技術を開発している。仙台赤十字病院や東北大病院などの医療機関に
サンプルを提供し、臨床研究を本格化させている。
研究グループによると、巻きづめ患者は国内で15万人いる。医者にか
からない潜在患者を含めると1000万人ともいわれる。現状では、外科
治療のほか、つめに穴を開けて金属ワイヤを通す方法、弾力性のあるプラ
スチック板をつめに張り付ける方法で矯正している。
貝沼教授は「新器具は製造コストが安く抑えられ肉体的な負担もない。
早期の実用化を目指したい」と話しており、今後、販売の協力会社を探
し、医療器具として国の認可を申請するかどうかも検討する。
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4) 研究成果 ———- 新聞発表
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超高解像度の光学顕微鏡 東北大研究グループ開発
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東北大多元物質科学研究所の山本正樹、柳原美広両教授のグループは
7日までに、軟エックス線を利用した超高解像度の光学顕微鏡を開発した。
400ナノメートル(1ナノは100万分の1ミリ)という電子顕微鏡に迫る
微細な観察が可能で、現時点で世界最高性能という。電子顕微鏡で必要
だった観察対象を乾燥させる措置も不要となる。グループは「ウイルスを
生きたまま研究することができる。
医療やバイオテクノロジーなど各分野で役立つ」と話している。
通常の光学顕微鏡は、1マイクロメートル(1ミリの1000分の1)が
観察の限界とされるが、エックス線などを当てれば、さらに小さなものを
見ることができることが分かっていた。グループは、すべての物質を通り
抜ける軟エックス線に注目し約10年前から研究してきた。
軟エックス線はレンズを通しても屈折せず、普通の顕微鏡の構造では観察
できない。グループは、シリコンとモリブデンを交互に何度も塗った鏡に軟
エックス線を当てると反射する性質を利用。凹面と凸面の2つの鏡を組み合
わせ、画像を得ることに成功した。
鏡の曲面に貼るシリコンとモリブデンは、ムラが生じると画像がゆがむた
め、0.1ナノミリのレベルで鏡表面を整えた。成膜する装置と、膜を削り
取る(ミリングする)装置を併せて開発。理論通りの鏡を作ることができた。
電子顕微鏡に比べ広範囲を短時間で観察できる光学顕微鏡の特性を生かし、
1秒間に10枚の画を撮影が可能。ウイルスの動きの観察などに威力を発揮す
るという。
山本教授は「画像を記録する側と、軟エックス線を照射する精度を上げれ
ば、より細かい対象を観察できる。設置場所も選ばないので、大学や企業の
研究室でも使いやすい」と話している。
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5) 研究成果 ———- 新聞発表
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1Åの精度で鏡の表面形状を整える装置の開発に成功
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多元物質科学研究所は、軟X 線多層膜ミラーの表面形状をナノメーターの
精度で整えるイオンミリング装置の開発に成功した。
軟X 線多層膜ミラーは、2種類の物質を厚さ数nmで交互に数十から数百層積
み上げたもので、通常の”ミラー”では反射しない軟X 線を反射させることが
できる。軟X 線は、次世代半導体リソグラフィ用の光源に使われることが世
界的に策定されており、将来の半導体微細加工技術には欠かせない光である。
また、宇宙に浮かぶ星からは軟X 線が発せられ、これを観測することで宇宙
の起源を探ることができる。
これらナノテクノロジーや宇宙探索のキーコンポーネントが多層膜ミラーで
あり、顕微鏡や望遠鏡の”レンズ”として使われる。軟X線光の波長は我々が
見える光の波長と比べて1/10~1/100 程度短いので、非常に微細なものを
見ることができるようになる。このためには、ミラーの形状を精密に整えて
点が点にきちんと集まるようにしなければならない。
しかしながら、整えなければならない形状が研磨加工技術では達成すること
ができないほどのレベルであるためこれまで実現しなかった。我々はこれを
打破するために新しい原理を発見した。
今回、開発に成功した装置では、アルゴンガスをイオン化したビームを
ミラー表面に照射して、表面を数ナノメーターの厚さ単位で除去すること
で、実質的に0.1 nm の形状を補正することができる。
この装置は直径100 mm の領域を均一に精密加工することができるので様々
な形状の創成などにも応用することができる。
◆詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2008/20080417_1.pdf
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6) 研究成果 ———- 新聞発表
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原子以下の厚さの計測に成功
~軟X 線多層膜ミラー成膜をピコメーターで見る~
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多元物質科学研究所は、軟X 線多層膜ミラーの製作過程を直接観察し、
オングストロームより小さいピコメーターの厚さの計測に成功した。
軟X 線多層膜ミラーは、2 種類の物質を厚さ数nmで交互に数十から数百層
積み上げたもので、通常の”ミラー”では反射しない軟X 線を反射させること
ができる。軟X 線は、次世代半導体リソグラフィ用の光源に使われることが
世界的に策定されており、将来の半導体微細加工技術には欠かせない光であ
る。また、宇宙に浮かぶ星からは軟X 線が発せられ、これを観測することで
宇宙の起源を探ることができる。これらナノテクノロジーや宇宙探索のキー
コンポーネントが多層膜ミラーであるが、このミラーは1/100 nm の誤差で
精密に作製しなければ光を反射せず、その作製には困難を伴う。厚さが極限
に薄いため、これまで実用的に計測できる手段がなかった。
開発した装置では、我々に見える光の”偏り”を高精度に計測し、多層膜
ミラーの作製過程におけるピコメーターの厚さ変化の測定に成功した。
水素原子の直径がおよそ50 pm であるから、原子以下の厚さを計測できる
計測装置であり、日本のナノテクノロジー技術の様々な場面で利用、応用
できるものと期待される。
◆詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2008/20080417_2.pdf
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7) 研究成果 ———- 新聞発表
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細胞内のタンパク質の働きを探る軟X線顕微鏡の開発に成功
~タンパク質の動きを可視化する~
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生物学は細胞の発見から始まっていますが、生物が細胞から成り立って
いることは顕微鏡を使うことにより初めて明らかになりました。細胞内の
より小さい構造が見えれば細胞の活動をより詳しく知ることが出来るので、
空間分解能の高い顕微鏡の開発が望まれています。しかし、私たちが普段
眼にする光(可視光)を用いた顕微鏡では,使う光の波長(約0.5nm)以下
の構造は見えません。そこで、より波長の短い紫外線や軟X線などの光(波
長0.2nm~2nm)を使うことが考えられてきました。この「軟X線顕微鏡」
は、水を含んだ状態の試料で0.1nm 以下の構造が見えます。
最近では、回折効果を利用した微細なフレネル輪帯光学素子製作技術の発展
と、放射光光源を用いることで、凍結した試料を軟X線で観測することが出
来るようになりました。しかし、放射光光源は世界数箇所に限られる特殊な
施設であるために、一般の生物学者・医療関係者が気軽に使える設備や環境
ではありませんでした。同じように、より小さい構造を見る手段として電子
顕微鏡がありますが、観察試料を乾燥させて切片化したり金属で被覆したり
する必要があり、生きた細胞を見ることは出来ません。このような観察手段の
制限から、DNAの指令により作られるタンパク質が細胞内でどのような形状
を持ち働いているのかは、詳細は不明なままで、確認する手段がありませんで
した。
我々のグループでは、実験室に設置できる、だれでもいつでも使える、世界
初の高性能軟X線顕微鏡の開発に成功しました。顕微鏡の心臓部の結像光学系
は、世界的に見ても他の追随を許さない様々な考案・工夫で高性能化を達成し
た多層膜集光鏡(照明鏡系(レンズ))と多層膜結像鏡(対物鏡系(レンズ))
で,フレネル輪帯光学系の240 倍(開口数比)以上の明るさを達成しました。
さらに,専用の実験室プラズマ光源開発に加えて、調整方法、撮像方法などの
開発も必要でした。結果として、光源を励起するパルスレーザーの1ショット
(~10nsec)という極限の短時間露光で撮像に成功しました。このブレークス
ルーにより、光学系に必要な大掛かりな除振対策が不要になるばかりか、毎秒
10コマ以上の連続撮像による細胞のタンパク質の動きの可視化などの、従来
は不可能であった研究を可能にすることが期待されます。加えて、これらの開
発した軟X線線利用技術は、半導体露光装置に用いられる光源技術・光学素子
技術などにも応用可能で、次世代の半導体開発にも役立ちます。
◆詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2008/20080417_3.pdf
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8) 研究成果 ———- 新聞発表
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X 線用の高精細・非球面ミラー光学系を開発
~生きた細胞内部のハイビジョンビデオ観察の実現に前進~~
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多元物質科学研究所の豊田光紀助教は、X線を用いて、生きた生体細胞の
内部を30nmの解像度でハイビジョン観察できる、全く新しい非球面ミラー
光学系を独自考案の新設計手法で発見し、原理検証に成功した。
近年のバイオテクノロジーの進歩に伴って、ミトコンドリアに代表される
100nm 程度の大きさを持つ生体細胞の内器官で生じる生命の営みを、高い解
像度でリアルタイムにビデオ撮影できる生体顕微鏡が求められている。X線
を光源に用いた軟X線顕微鏡では、天体望遠鏡と同様な反射(ミラー)光学
系を用いてX線を集めることで、通常の光学顕微鏡と比べ20 倍以上の高解
像度で生体細胞を観察することが理論的に可能である。しかし、従来の球面
ミラーを組み合わせた軟X線顕微鏡では、ミラーの位置の僅かなずれで生じ
る収差(像のボケ)により解像度が理論値より大幅に劣化するという問題が
あり、実用化の大きな妨げとなっていた。
豊田助教らの研究グループは、球面ミラーの形を僅かに変形した非球面ミ
ラーを組み合わせ、顕微鏡を構成することで、ミラーや試料の位置ズレで生
じる収差(像のボケ)の影響を従来の1/20 以下に大幅に低減することに成功
した。
この新しい非球面顕微鏡は、ただ2 枚の凹面ミラーを「合わせ鏡」のよう
に組み合わせた簡単な構成ながら、温度変化や振動などの外乱に強く、波長
13nm の軟X線を観察光に用いた場合、解像度30nm で1000 万画素を超える、
広視野で高精細なハイビジョン動画が撮影可能な結像特性を有する。今回、
光学系の特性を、可視光を用いて検証できた。なお、次頁の実験装置は、技
術室の支援で所内開発した。今後、軟X線での実用化を目指す。
◆詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2008/20080417_4.pdf
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9) 研究成果 ———- 新聞発表
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多層膜の超精密絶対膜厚制御技術の開発に成功
~ナノテクの先 ピコメートル制御技術~
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多元物質科学研究所は軟X線反射型顕微鏡用多層膜の周期膜厚を,直径
10cm の円形曲面基板全面で所定の動径関数分布に従って,ピコメートル
(ピコメートルは1兆分の1メートル: 10^-12 m)精度で制御して作製す
ることに成功した。
軟X線を反射するには,物質に対してすれすれで光を入射させる斜入射
反射と,表面に物質を交互に積層する多層膜からの反射を用いる直入射反
射と2つの方法がある。我々の利用している多層膜による直入射反射を用
いることで,一度に広い領域を観察できる軟X線反射型顕微鏡を実現でき
る。現在開発している波長13.5 nm(ナノメートルは10億分の1メート
ル:10^-9 m)用の多層膜はモリブデンとシリコンを交互に40周期積層し
たMo/Si 多層膜であり,1周期の厚さは7 nm 程度である。多層膜は光の
強め合いの干渉を利用しているため,使用する光線の入射角度と周期膜厚
よって反射する軟X線の波長が決まる。顕微鏡で使用する4枚の多層膜鏡
で反射する軟X線の波長をそろえるためには,結像に付随する入射角度の
変化を打ち消すように,基板面内で所定の動径関数に従って,周期膜厚を
精密に制御する必要がある。
従来,顕微鏡用多層膜の周期膜厚誤差は2%程度であった。今回,新た
に成膜装置を安定化し分布測定技術とコンピュータで速度制御したシャッ
ターによる動径関数制御技術を開発することで,4枚の顕微鏡基板への多
層膜成膜の誤差を基板全面で0.4%に抑えることに成功した。絶対値では,
多層膜鏡の周期膜厚を30ピコメートル以内に制御できた。この技術は,地
球サイズ(直径1万3千km)の基板に周期膜厚の誤差5 mm 以下に絶対値
制御して積層したことに相当する。しかも,基板表面は曲面で,周期膜厚
も周辺部で最大2%厚い設計関数で積層する必要がある。
このピコメートル絶対精度成膜の実現により,複数枚の多層膜鏡を使った
軟X線光学系で高いスループットが得られる。精密な結像を行うには入射角
度の変化する複数枚の反射鏡が必須であり,まさにこの技術は軟X線多層膜
光学の基盤技術となる。例えば,実用的な生体試料測定用の軟X線反射型顕
微鏡が構築可能となり,従来難しかったサブミクロンサイズの生体試料を実
験室規模で観察できる。これによって,タンパク質やDNAなどの生きた試
料のナノメータースケール像を得ることができる。
◆詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2008/20080417_5.pdf
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10) 研究成果 ———- 新聞発表
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軟X 線の『水の窓』領域の光学特性評価装置の開発に成功
~世界初のレーザー生成プラズマ光源軟X 線分光計測装置~
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X線は透過力が強く、物体の内部を観察する手段によく用いられる。軟
X線と呼ばれる、波長が紫外線とX線の間にある光線は、透過力は落ちるが
逆に物体との相互作用が強いので物質研究に適している。
また、軟X 線は、波長が可視光線の600 nm(nm は1 nmの千分の一)の
100 分の1 で、数nm と短い。顕微鏡の解像度は原理的に使用する波長程
度であり、従来の波長600 nm の顕微鏡の解像度を遥かに越えたnm 解像度
の顕微鏡が実現できる。特に波長2?4 nm の領域の軟X 線は水による吸
収が比較的小さいので「水の窓」と呼ばれ、細胞を電子顕微鏡のように乾
燥させることなく水を含む状態で生きたまま観察できる。すると、従来は
観測できなかった細胞内の変化が観測できる。
東北大学の多元物質科学研究所グループでは、2 種類の物質をおよそ
1 nm の薄さで交互に積層して干渉作用で軟X線を反射させる多層膜曲面
ミラーの技術で水の窓の顕微鏡開発を目指している。この多層膜曲面ミ
ラーを水の窓用に開発するには、水の窓で分光反射率などの光学特性を
評価できる装置が必須である。同研究グループではレーザープラズマ軟
X線光源を用いて、世界初の実験室規模での水の窓多層膜曲面ミラーの
評価装置を開発した。
この装置で世界の軟X 線研究者たちに、これまでアメリカとドイツに
ある大型放射光施設の光学素子評価専用ビームラインに限定されていた
水の窓光学素子評価の路を開いた。成功のカギは光学素子の数を究極的
に減らした設計の工夫で、軟X線集光用のトロイダルミラーと軟X線の
波長純度を上げる不等間隔溝回折格子の2 枚だけで分光光学系を構成し
た点にある。
◆詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2008/20080417_6.pdf
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11) 受賞関係
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◆村上 恭和准教授
受賞日:H20.3.26
受賞名:日本金属学会功績賞
賞の内容:金属に関する学理ならびに技術の進歩に対する功績
◆柴田 浩幸准教授
受賞日:H20.3.26
受賞名:日本金属学会功績賞
賞の内容:金属に関する学理ならびに技術の進歩に対する功績
◆進藤 大輔教授
受賞日:H20.3.26
受賞名:日本金属学会学術功労賞
賞の内容:多年に亘って金属の研究・工業の進歩発展ならびに
日本金属学会の学術事業の推進に大きく貢献された業績
◆村上 恭和准教授、進藤 大輔教授
受賞日:H20.3.26
受賞名:日本金属学会金属組織写真奨励賞
受賞内容:電子線ホログラフィーによるトナー粒子の帯電評価
◆佐々木俊明技術室長
受賞日:H20.3.26
受賞名:日本金属学会研究技術功労賞
受賞内容:多年に亘って卓越した技術により金属の研究に協力し
その進歩発展に大きく貢献された業績
◆垣花 眞人教授
受賞日:H20.3.27
受賞名:日本化学会学術賞
受賞内容:水溶性金属錯体を活用したナノフォトセラミックスの
水溶液からの合成
◆高橋 正彦准教授
受賞日:H20.3.27
受賞名:日本化学会学術賞
受賞内容:電子線コンプトン散乱を利用した
分子軌道イメージング法の開発
◆石藤 美紀学振特別研究員DC2(宮下研)
受賞日:H20.3.27
受賞名:応用物理学会講演奨励賞
受賞内容:金ナノ粒子を含む高分子ナノ集積体からの光第二高調波発生
◆中村 崇教授、葛西 栄輝教授、柴田 悦郎准教授
受賞日:H20.3.28
受賞名:資源・素材学会論文賞
受賞内容:Vapor Pressure of Zinc and Zinc Chloride in the
FetO-CaO-SiO2-Al2O3Slag System
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◆多元研、今年度の写真をアップ致しました!
毎日たくさんの方々が訪れ、片平キャンパス内の桜を満喫されていました。
http://www.tagen.tohoku.ac.jp/general/information/photo/08-photo.html
県内でもたくさんの観光客でにぎわいましたが、おとなり福島には
「桃源郷」と呼ばれる名所があります。
日本を代表する写真家故秋山庄太郎氏が「福島に桃源郷あり」と毎年
訪れていた場所で、梅、ハナモモ、数種類の桜、レンギョウ、ボケ、
サンシュユ、モクレンなどの花々がいっせいに咲き競う山。
自らの農地を「みんなにきれいな花を観てもらい心が安らげば」と先代
と長い歳月をかけて作り上げ、公開している、個人所有の公園。
現在も無料で開放され、市民や観光客に親しまれています。
また、花木の生産場所であるため、春以外でも花を観ることができます。
5月からは、ハナモモ、ツツジなどが見頃のようです。
◆こらんしょふくしま 福島市観光物産協会公式HP/花見山特集
http://www.f-kankou.jp/spspring2008/hanamiyama.htm
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◆広報情報室では、講演会、シンポジウム、研究成果など
メールマガジンに掲載させていただける情報をお待ち致しております。
登録・変更・削除は、こちらからお願いいたします。
↓ ↓ ↓
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/information/mailmagazine.html
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_/
_/ 発行元:
_/ 東北大学多元物質科学研究所
_/ 広報情報室 022-217-5198
_/ network-tagen[at]grp.tohoku.ac.jp
_/
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