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プレスリリース
世界初:海水由来のマグネシウムを用いたマグネシウム空気電池用電極の 試作に成功、同電池を用いた車両走行試験に挑戦

一般社団法人循環社会推進協議会
国立大学法人東北大学
学校法人玉川大学

【多元研研究者情報】材料分離プロセス研究分野 教授 柴田浩幸

グリーン・マテリアルの自給/循環社会の構築を目指す(一社)循環社会推進協議会(代表理事:熊谷枝折、以下当協議会)のメンバー企業 藤倉コンポジット(株)、(株)戸畑製作所、第一高周波工業(株)、(株)日本海水は、国立大学法人東北大学多元物質科学研究所材料分離プロセス研究分野(教授:柴田浩幸)、学校法人玉川大学工学部デザインサイエンス学科(教授:斉藤純)と共同で、海水由来のマグネシウムを用いたマグネシウム空気電池用電極の試作に成功しました。発電システムの電極の一部に試作電極を用い、充電したバッテリーで車両を走行させる世界初の試験に挑戦します。

令和8年6月にフランスで開催されたG7サミットでは、高市早苗首相が重要鉱物の備蓄制度を提案し、共同声明に盛り込まれました。マグネシウムは、令和8年3月30日付けで改定された経済産業省発行の「重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針」において、「航空機及び自動車の部素材等に用いられるチタン及びマグネシウムといったレアメタルは2050 年のCN実現に不可欠であり、今後も重要性・成長性が見込まれる。」として、重要鉱物に追加指定されており、その重要度はますます高まっています。マグネシウムは実用金属中、最軽量であるという特長を活かした構造材として用いられる他、アルミ合金の添加剤、鉄鋼生産における脱硫剤、チタン生産における還元剤などの重要な役割を果たしています。しかし、マグネシウムは供給のほぼ全量を輸入に頼っており、しかも供給国が限定されていることによるカントリーリスクが高まっているため、資源の安全保障の観点から、国内生産と循環利用の実現が望まれています。

当協議会の製錬部会は、無尽蔵な資源である海水に由来するマグネシウムを原料とし、高周波誘導加熱による効率的な熱還元法(グリーン・ピジョン法)と、精緻な制御技術により環境負荷が小さく効率的な溶融塩電解法(グリーン電解法)の2種類の製錬法で金属マグネシウムを得る製錬技術の開発に取り組んで参りました。この度、製錬部会、海洋資源部会、合金部会、電池部会、EV部会が合同で、産学連携により、海水由来のマグネシウムを用いて発電した電力でソーラーカーを走行させる実証試験を行います。

今回の実証試験では、海水から採取した水酸化マグネシウムを原料として、2種類の製錬方法の試験装置で生産した金属マグネシウムを合金化して製作した電極を、発電に使用するマグネシウム電極の一部に用い、マグネシウム空気電池で発電した電力により、玉川大学が製作した車両を、令和8年8月10日に秋田県大潟村で開催されるソーラーカーレース「WORLD GREEN CHALLENGE 2026」において走行させます。

今回の実証では、海水由来のマグネシウムを用いた走行は実証を目的とした限定的な走行区間にとどまりますが、海水由来のマグネシウムで車両を走行させるのは世界初の試みです。将来的にはレース全行程の海水由来のマグネシウムによる走行を目指します。また、本実証試験で使用することにより生成した使用済みマグネシウム(水酸化マグネシウム)を製錬プロセスに戻して還元し、金属マグネシウムに戻すことにより、マグネシウムの循環利用のサイクルを初めて実証します。海水にはマグネシウムが豊富に含まれており、海水から採取した水酸化マグネシウムを再生可能エネルギーや余剰時のエネルギーを使って金属マグネシウムに製錬することができれば、CO2の削減および資源のカントリーリスク低減の利点があります。

エネルギーキャリアとしてのマグネシウムは、CO2を発生しないだけでなく、エネルギー密度、保存性、輸送性等あらゆる点で優れた能力を備えています。その循環利用技術と社会システムを構築することにより、地産地消のエネルギー利用、再エネ電力供給の安定化、エネルギー備蓄による防災対策、モビリティの電動化などにおいて社会のエネルギー・セキュリティに多様に貢献することが出来ます。

 

 

 

問い合わせ先

一般社団法人循環社会推進協議会 
代表理事 熊谷枝折
Email: s-kumagai*ksf.biglobe.ne.jp(*を@に置き換えてください)

(研究に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所
教授 柴田 浩幸(しばた ひろゆき)
TEL: 022-217-5663
Email: hiroyuki.shibata.e8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)