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プレスリリース
電子挙動の直接観察を相対性理論と対比 -電荷保存則と電子波干渉を相対性理論の場を通した考察-

 理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発現象観測技術研究チームの進藤大輔チームリーダー(東北大学名誉教授)と東北大学多元物質科学研究所電子線干渉計測研究分野の赤瀬善太郎講師らの共同研究チームは、電子の波動性を利用した「電子線ホログラフィー」技術を発展させ、各種の絶縁材料表面における電荷の移動を電場の乱れから、またスピン偏極の様子を磁束の変化から直接観察することに初めて成功しました。
 本研究成果は、材料の電磁気的特性の理解とその改良に役立つだけでなく、素粒子としての電子が示す複雑な量子現象の理解に貢献すると期待できます。
 今回、共同研究チームは、電子挙動の直接観察を通して、電子の電荷保存則がナノメートル(10億分の1メートル)スケールで成立し、マックスウェル方程式で記述される電磁場が、特殊相対性理論と整合することを証明しました。一方、観察手法に用いた電子のマイクロメートル(100万分の1メートル)スケールに及ぶ波動性は、電荷には依存せず、量子として電子のド・ブロイ波長を構成する質量や運動量に依存し、その場は、一般相対性理論に基づくアインシュタインの場の方程式によって取り扱われるべきであることを指摘しました。
 本研究は、科学雑誌『Materials Science and Engineering: R: Reports』 のオンライン版(7月8日付)に掲載されました。
プレスリリース本文(PDF)
20200713_press_release
集束イオンビーム加工されたチタン酸バリウムの走査電子顕微鏡像(a)と劈開後の振幅再生像(b)

論文情報:
“Direct observation of electric and magnetic fields of functional materials”
Daisuke Shindo, Zentaro Akase
Materials Science and Engineering: R: Reports
DOI:10.1016/j.mser.2020.100564

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東北大学
理化学研究所

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