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お知らせ
みやぎ県民大学2024を開催しました

多元物質科学研究所では、2024年7月5日、12日、19日、26日、8月2日の5回にわたり、みやぎ県民大学開放講座「生命と化学の接点」を開講しました。本講座では生体成分である核酸、タンパク質に焦点を絞り、生命科学と化学の接点をテーマに最新の研究をわかりやすく説明しました。

⧉ 開講式

 7月2日、第1回講座に先立って開講式を行いました。福山博之研究所長から、「多元研では幅広い分野の研究を行っていますので、毎年違った内容で開講しています。今回は「生命と化学の接点」をテーマに、有機・生命化学に関する講座です。この4月に運用が始まった放射光施設ナノテラスに関する講義も予定されていますので、楽しんでください。」と挨拶がありました。

福山博之所長

⧉ 第1回講座「Covid-19が変えた創薬の世界」

 7月2日(金)の第1回講座では、生命機能分子合成化学研究分野の永次史教授が「Covid-19が変えた創薬の世界」と題して講演し、29名が受講しました。医薬品はどのように作られるのか、その開発のプロセスやウイルスと細菌の違いなどについて解説し、インフルエンザウイルスやCovid-19の構造、それらの治療薬の構造やメカニズムについて詳しく説明しました。さらに、生体分子を標的とした新規機能性オリゴヌクレオチドの開発など、永次史研究室における最新の成果についても分かりやすく紹介しました。

生命機能分子合成化学研究分野(永次史研究室)

 

⧉ 第2回講座「副作用が少なく、効果的な感染症やがん、脳梗塞を治すお薬の開発を目指して」

 7月14日(金)の第2回講座では、生命機能制御物質化学研究分野の和田健彦教授が「副作用が少なく、効果的な感染症やがん、脳梗塞を治すお薬の開発を目指して」と題して講演し、31名が受講しました。がん細胞だけに作用する核酸医薬の構造や機能について、これまでに開発されている人工核酸の例を紹介、今後の実用化に向けての課題についても、図やグラフを用いて詳しく解説しました。さらに、和田健彦研究室において現在推進している最新の研究プロジェクトについても分かりやすくお話しました。

生命機能制御物質化学研究分野(和田健彦研究室)

 

⧉ 第3回講座「生きた細胞の中の分子を自在に見る&動かすことはできるのか」

 7月19日(金)の第3回講座では、細胞機能分子化学研究分野の水上進教授が、「生きた細胞の中の分子を自在に見る&動かすことはできるのか」と題して講演し、30名が受講しました。電子顕微鏡、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡による細胞の観察について、その歴史やそれぞれの特徴、どんなふうに見えるのかを説明しました。蛍光タンパク質を用いて生きた細胞内の分子を観察する方法や、光を用いて生きた細胞内の分子を自在に動かす方法について、実際の画像や動画を用いて詳しく解説しました。マイトファジーの光誘導など、水上進研究室における最新の研究成果についても分かりやすく紹介しました。

細胞機能分子化学研究分野(水上進研究室)

 

⧉ 第4回講座「NanoTerasuの光で見える世界」

 7月26日(金)の第4回講座では、量子ビーム構造生物化学研究分野の南後恵理子教授が「NanoTerasuの光で見える世界」と題して講演し、33名が受講しました。タンパク質の構造解析について、その歴史と解析方法や、実際にタンパク質構造に基づいた設計で開発された医薬品について、また、南後恵理子研究室におけるタンパク質構造解析に関する最新の研究について分かりやすく解説しました。放射光施設NanoTerasuについては、既存の放射光施設との違いや運用方法、NanoTerasuを用いた研究プロジェクトや研究成果についても画像や動画を用いて紹介しました。

量子ビーム構造生物化学研究分野(南後恵理子研究室)

 

⧉ 第5回講座「70年にわたる基礎研究がもたらした大変革:タンパク質の形の予測はどうやって可能になったか?」

 8月2日(金)の第5回講座では、生命分子ダイナミクス研究分野の髙橋聡教授が「70年にわたる基礎研究がもたらした大変革:タンパク質の形の予測はどうやって可能になったか?」と題して講演し、32名が受講しました。ケラチンやコラーゲンなど、生命を支えるさまざまな機能を果たすタンパク質の、発見からその構造解析に関する研究の70年の歴史を追って分かりやすく解説しました。タンパク質の構造予測を可能にした物理モデルや実験観察、数値計算など様々なアプローチについて紹介し、タンパク質のフォールディング問題に関する髙橋聡教授自身の研究についても、図や画像を用いて詳しく説明しました。

生命分子ダイナミクス研究分野(髙橋聡研究室)

 

⧉ 閉講式

 8月2日の第5回講座終了後には閉講式を行いました。多元物質科学研究所所長の福山博之教授から「受講生の皆さんが積極的に質問されていたのを拝見して、今回も楽しんでいただけたかなと思いました。これからも様々なテーマで開催してまいりますので、また是非参加して下さい。」と挨拶がありました。全5回中4回以上受講した受講者には、髙橋聡教授より修了証が授与されました。

髙橋聡教授より修了証を授与しました

みやぎ県民大学開放講座「生命と化学の接点」開催案内

 

 

問い合わせ先

東北大学多元物質科学研究所 総務係

TEL: 022-217-5204