多元物質科学研究所では、仙台市教育委員会が「自分づくり教育」の一環として推進する職場体験授業を受け入れ、11月8日から4日間、仙台市立桜丘中学校2年生3名の職場体験を実施しました。
（11月8日、9日の実施内容についてはこちらをご覧下さい。）
3日目の11月10日は、まず、2枚のステンレスの板をつなげる溶接加工を体験しました。溶接するときに出る明るい光は、目の病気や火傷を引き起こす危険があるので、溶接遮光面と呼ばれる防護マスクと手袋を装着し、集中して慎重に作業しました。3人とも、少し怖くて緊張したと話していましたが、担当の職員に教えてもらいながら完成させることができました。その後、Xステージの組み立て作業に挑戦しました。Xステージは、顕微鏡などでサンプルの位置調整に用いられるユニット部品です。とても細かい作業でしたが、楽しく体験しました。午後には、高桑研究室（表面プロセス研究分野）を訪問し、実際にプラズマを生成して薄膜をつくる実験を見せてもらいました。「この分析装置ではどんなことが分かるんですか？」などと質問し、興味深く見学しました。高桑教授は「最新の研究には最新の装置が必要です。この実験室にある装置は、全て、研究室のスタッフや学生と技術室のスタッフが協力して作ったもので、世界に１つしかないオリジナルです。」と話してくれました。最後に共通機器室を訪問しました。走査型電子顕微鏡の仕組みと、何がどのように見えるのかなどについて説明を受けてから、シリコンやステンレスの分析を体験しました。​

最終日の11月11日はガラス工場を訪問し、ガラス旋盤や超音波加工機などの機器を見学してから、ガラス細工を体験しました。ガラス管にヤスリを当てて切断する方法や、ガスバーナーを用いての「引き伸ばし」や「曲げ」「接合」、くぼみを作る「ゴム止め」といった基本的な熱加工を体験し、ひびの原因になる「ひずみ」が熱加工によって生じる様子を、特別のメガネを使って見せてもらいました。また、複雑な実験器具をどうやって作ったのか、VTRを見ながら教えてもらいました。午後はマドラー作りに挑戦しました。技術職員がお手本を作ると、その鮮やかな手さばきに、楽しそうな歓声が上がりました。「鳥」や「魚」など、完成形を頭に描いてから作り始め、難しいところは手伝ってもらったり、コツを教えてもらったり、プロのアドバイスを受けながらそれぞれ完成させることができました。

最後に４日間の締めくくりとして質問コーナーを設け、中学生からの質問に技術職員がひとつひとつ丁寧に答えました。抜粋して一部を掲載します。

中学生からは、「この4日間の職場体験を通してさまざまなことを学び、社会体験をすることができました。ありがとうございました。」とお礼の言葉がありました。全てのスケジュールを終了すると、参加した中学生は、機械工場内の全ての部屋に立ち寄り「4日間ありがとうございました！お先に失礼します！」と元気よく挨拶をしてから帰途に着きました。職場体験を通して、社会人としてのマナーもしっかり学んでくれたようです。4日間お疲れさまでした！
関連リンク：
高桑研究室（表面物理プロセス研究分野）
東北大学多元物質科学研究所 技術室ガラス工場
東北大学多元物質科学研究所 技術室機械工場