多元研技術室機械工場では、仙台市教育委員会が「自分づくり教育」の一環として推進する職場体験授業を受け入れ、2017年10月31日から3日間、仙台市立八乙女中学校2年生3名の職場体験を実施しました。

1日目

　1日目の10月31日は、多元研技術室機械工場の概要紹介を含めたオリエンテーションがありました。設計室では、設計の仕事内容について説明を受けてから、製図ソフトCADを用いて、最近人気のある「ハンドスピナー」の設計に挑戦しました。それぞれ作りたい形を自分で決めて、技術職員の皆さんに手伝ってもらいながら、サイズやバランスを調整するなど試行錯誤して完成することができました。午後には、汎用旋盤加工やワイヤ放電加工機を操作しての加工作業等の機械加工を体験しました。中学生が切り抜いた金属は、怪我をしないように、と担当の技術職員がきれいに切り端を整えて磨いてくれました。中学生の皆さんは、難しかったけど楽しかった、と話していました。

2日目

　11月1日には、ガラス細工の体験と研究室、SEM室の見学を行いました。午前中は、多元研のガラス工場の技術職員の皆さんが普段どんな仕事をしているのかについて、ガラスの種類について、ガラス細工の基本についての講義を受けてから、試験管とマドラーの加工に挑戦しました。長いガラス管を必要な長さに切ってから、片方の端を溶かして試験管の底の部分をつくり、もう片方は口の部分になるように整えて、試験管が完成しました。マドラーは、ガラス棒の片方の端を丸く整えて作りました。中学生の皆さんは、ガスバーナーの火力の大きさと音に少し驚いていましたが、技術職員による丁寧な指導のもとで安全に体験することができました。

　午後には、放射光ナノ構造可視化研究分野（高田研究室）の実験室を見学し、豊田光紀助教から研究の内容について説明を受けました。物質の構造をナノレベルで調べる研究で、実験に使う装置もオリジナルの設計で、多元研の機械工場で作製されたものだそうです。レーザー光から目を守るために専用のメガネを装着して見学しました。1日目に、設計を体験していた3人は、大きくて複雑な装置を見てしきりに感心していました。

　続いて、SEM室を見学し、電子顕微鏡の操作を体験しました。パスタや卵の殻など、身近なサンプルを観察してから、実際に自分たちの髪の毛を観察してみました。表面をアルコールできれいに拭いた髪の毛をサンプル台に並べて、専用の装置で、髪の毛の表面に薄く白金を吹き付けてから顕微鏡にセットしました。電気を通さない物質は、電子顕微鏡で観察するのが難しいので、表面に白金を吹きつけるのだそうです。一人ずつ電子顕微鏡を操作して、自分の髪の毛を観察して写真を撮る作業に挑戦しました。3人の髪の毛は表面がとても滑らかで、キューティクルが整っていました。

3日目

　最終日には、Xステージの組み立てに挑戦しました。分解したXステージを組み立てなおす作業です。どの部品がどこにあったのか思い出しながら、たくさんの部品を、更にたくさんの小さなネジを使って組み立てました。組み立てる順番やネジの締め具合、平行になっているかなど、細かく調整する必要があり、難しい部分は技術職員の皆さんに手伝ってもらいましたが、3人とも無事に完成しました。

　3日間の職場体験のまとめとして、質問コーナーがありました。中学生の皆さんからの質問に、若手の技術職員が答えました。一部を紹介します。

 
　最後に中学生の皆さんから「この3日間の経験を糧に、明日からも頑張ります。ありがとうございました。」とお礼の言葉があり、職場体験は終了しました。

 
1日目に作った設計図を元に、技術職員の皆さんが３Dプリンターで作製してくれました。
自分で設計したハンドスピナーを手に、3人ともとても嬉しそうでした。

 

お礼状　（11/14 更新）

11月14日、職場体験に来た中学生から、心のこもったお礼状が届きました。

 

報告会　（12/25 更新）

12月12日、八乙女中学校において、職場体験の報告会がありました。中学生の職場体験を受け入れた事業所の方々も見守る中、写真などを用いた資料を使って報告しました。体験の内容について、クイズ形式で説明したり、実際に作成した作品を見せたりと工夫されていて、とても分かりやすい発表でした。

関連リンク：
東北大学多元物質科学研究所 技術室機械工場
東北大学多元物質科学研究所 技術室ガラス工場
放射光ナノ構造可視化研究分野（高田研究室）