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多元研とは

多元研とは

概要

 多元物質科学研究所(略称:多元研)は、伝統ある異分野の旧3 研究所(素材工学研究所、科学計測研究所、反応化学研究所)を統合し、2001年4月、「多元的な物質に関する学理およびその応用の研究」を設立目的に掲げて発足しました。

 多元研は、異分野融合研究を積極的に進め、物質・材料分野の既成概念を一変させるような新たな物質科学技術の研究を創製・展開し、社会に貢献する成果を発信してきました。また、産学官連携を積極的にすすめて社会に開かれた研究所としても活動してきました。さらには、20を越える海外の研究機関との協定を基に、多くの国際共同研究が実施され、物質科学技術における国際的研究拠点となることを目標に研究を推進しています。

 近年ではネットワーク型の全国共同利用・共同研究拠点への認定がなされ、大きく全国の研究者コミュニティに開かれた組織へと飛躍することとなりました。

理念

 多元物質科学研究所は、2001年4月に「多元的な物質に関する学理およびその応用の研究」を設立目的として発足した。

 当初の設立理念は、異分野融合研究を積極的に進め、物質・材料分野の既成概念を一変させるような新たな物質科学技術、すなわち「多元物質科学の研究」を創製・展開し、この分野のパイオニア的かつ国際的研究拠点となることとされた。その後の所内での異分野融合が進むと同時に世界的なナノサイエンスの進展も相まって、「多元物質科学」は、まさに21世紀に相応しい概念として認識されるようになってきた。

 「多元物質科学の研究(Multidisciplinary Research for Advanced Materials)」とは、「多くの原理、要因、視点を考慮した、複数の成分・階層からなる物質の研究」と広く定義できる。より具体的には、金属・セラミックス・半導体・有機物・生体関連物質など、従来は学会、研究組織、企業もそれぞれ別のグループに分かれて研究されてきた物質群を、それらの壁を取り払い共通の土台に載せて、様々な視点から複眼的に研究を行う。とりわけ、今日の複合材料やナノ構造体、さらには生体物質などでは、このアプローチは必要不可欠になっている。学問分野としても、物理学・化学・生物学・工学・環境科学などにまたがり、物質・材料を原子・分子レベルからはじまり、ナノスケールを経てマクロなデバイスレベルまで、マルチスケールで創製・解析・制御する科学・技術の開拓を目指している。さらには、創製された新物質はもとより、社会が必要とする物質・材料を、その製造プロセスから利用後の廃棄物処理法や地球環境保全までも考慮し、持続可能型社会の実現をめざした研究を行なっている。

 これらの研究を遂行するにあたり、さらなる異分野の専門家を交えた全国的・国際的な協力と共同を進め、この分野の世界的な研究拠点となる事を目指している。同時に、この研究に共に参加する若手研究者や大学院生・学生・留学生などを数多く育てることで、多元的視野を有し国際的に活躍できる人材の育成を目指すものである。

多元物質科学研究所 沿革

昭和16年 3月勅令第268号(官制)により選鉱製錬研究所 設置
(昭和12年に設置された科学審議会の特別委員会において、政府が鉄鋼等の重要金属資源の精錬に関する研究所を常置する必要があると判断したことにより設置)
昭和18年 1月勅令第54号(官制)により科学計測研究所 設置
(精密測定装置の自給体制等の必要性から設置)
昭和19年 1月勅令第7号(官制)により非水溶液化学研究所 設置
(戦時体制の強化に伴い、非水溶液化学(液化ガス等)の重要性が増大したことによる設置。当初工学部化学工業科で創設を目指していた「化学工学研究所」に代えての措置)
昭和24年 5月国立学校設置法により、選鉱製錬研究所、科学計測研究所、非水溶液化学研究所は、それぞれ東北大学附置研究所となる
平成 2年 6月文部省令により科学計測研究所が大部門制の組織に改組
平成 3年 4月国立学校設置法の改正により非水溶液化学研究所を反応化学研究所に改組
平成 4年 4月国立学校設置法の改正により選鉱製錬研究所を素材工学研究所に改組
平成13年 4月国立学校設置法の改正により素材工学研究所と科学計測研究所と反応化学研究所を再編統合し、多元物質科学研究所設置
(研究部・附属研究組織)多元設計研究部門多元制御研究部門多元解析研究部門融合システム研究部門資源変換・再生研究センター超顕微計測光学研究センター
平成14年 4月先導結晶化学技術寄附研究部門 設置(~平成17年3月)
平成16年 4月多元ナノ材料研究センター 設置(~平成22年3月)
平成17年 4月新産業創造物質基盤技術研究センター 設置
先導結晶化学技術寄附研究部門 設置(~平成19年3月)
平成18年 4月有機ナノ結晶科学技術寄附研究部門 設置(~平成21年3月)
平成19年 1月先端圧電セラミックス寄附研究部門 設置(~平成21年12月)
平成19年 4月超顕微計測光学研究センターを廃止し、先端計測開発センターを設置
窒化物結晶寄附研究部門 設置(~平成24年3月)
ポストシリコン物質・デバイス創製基盤技術アライアンス(~平成22年3月)
平成20年 4月窒化物ナノ・エレクトロニクス材料研究センター 設置
平成22年 4月多元設計研究部門、多元制御研究部門、多元解析研究部門、融合システム研究部門を廃止し、有機・生命科学研究部門、無機材料研究部門、プロセスシステム工学研究部門、計測研究部門を設置
資源変換・再生研究センター、多元ナノ材料研究センター、新産業創造物質基盤技術研究センターを廃止し、サステナブル理工学研究センター、高分子・ハイブリット材料研究センターを設置
物質・デバイス領域の共同利用・共同研究拠点(ネットワーク型)の構成機関となる
平成24年 4月窒化物ナノ・エレクトロニクス材料研究センターを廃止し、新機能無機物質探索研究センターを設置
希少元素高効率抽出技術拠点(~平成29年3月)
平成25年 4月ナノ流体エンジニアリング共同研究部門(~平成28年3月)
平成28年 4月物質・デバイス領域の共同利用・共同研究拠点(ネットワーク型)の中核研究機関となる
平成30年 4月サステナブル理工学研究センターを廃止し、金属資源プロセス研究センターを設置
非鉄金属製錬環境科学研究部門 設置(~令和5年3月)
令和元年11月放射光次世代計測科学連携研究部門 設置(令和2年7月、国際放射光イノベーション・スマート研究センターへ移管)
令和2年 5月製鉄プロセス高度解析技術共同研究部門 設置(~令和5年4月)
令和2年 8月次世代電子顕微鏡技術共同研究部門 設置(~令和6年3月)
令和3年 4月先端計測開発センター、高分子・ハイブリッド材料研究センター、新機能無機物質探索研究センターを廃止し、マテリアル・計測ハイブリッド研究センターを設置
令和5年 4月光メタセンシング共創研究所 設置(~令和8年3月)
非鉄金属製錬環境科学研究部門(第二期)設置(~令和10年3月)
令和6年4月ソフトマテリアル研究センター 設置
日本電子×東北大学 高度マテリアル分析共創研究所 設置(~令和10年3月)

多元物質科学研究所 歴代所長

初代所長:早稲田 嘉夫(わせだ よしお)教授                      
任期:平成13年4月1日 – 平成14年11月5日
第2代所長:中西 八郎(なかにし はちろう)教授
任期:平成14年11月6日 – 平成17年11月5日
第3代所長:齋藤 文良(さいとう ふみお)教授
任期:平成17年11月6日 – 平成22年3月31日
第4代所長:河村 純一(かわむら じゅんいち)教授
任期:平成22年4月1日 – 平成27年3月31日
第5代所長:村松 淳司(むらまつ あつし)教授
任期:平成27年4月1日 – 令和2年3月31日
第6代所長:寺内 正己(てらうち まさみ)教授
任期:令和2年4月1日 – 令和6年3月31日