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メールマガジン

Mail Magazine6月号

メールマガジン 2021年6月号

━━ ☆☆ 多元研 HOT NOW! ☆☆  ━━━━━━━━━━━━━━
   ★ 多元研 メールマガジン ★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2021年6月号 No.191 ━━━

 このメールはメールマガジン希望登録者様に送らせて戴いております。
 多元研が関わる学会、研究発表会・シンポジウム、その他、
 毎回HOTな情報をお届けいたします。

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 ~ 目次 ~

1) 行事予定 — 多元研サイエンスデイ2021 ONLINE

2) 研究成果 — 新素材「グラフェンメソスポンジ」の 安価な製造法を開発

3) 研究成果 — 脂質受容体の新たな活性化機構を解明
       ~脂質がまっすぐ伸びて活性化~

4) 研究成果 — 新型コロナウイルスの高性能な抗体検査技術を開発
       ~約20分で測定完了!現場診断やワクチン効果の定量的評価に貢献~

5) 研究成果 — 高分子材料の結晶配向をナノスケールで可視化
       ~電子顕微鏡をベースとした新規分析法で高分子の研究・開発に寄与~

6) 研究成果 — 電池材料の酸素脱離現象を解明
       ~次世代型蓄電池への応用に期待~

7) 研究成果 — 電池材料粒子内部の高精細な可視化に成功
       ~多次元イメージング計測とデータ科学の連携~

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    1) 行事予定
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    多元研サイエンスデイ2021 ONLINE
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

昨年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からやむなく開催中止と
させていただいた『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』ですが、今年度は
7月18日(日)に完全ONLINEにて開催いたします。

日時:7月18日(日) 9:00~16:00

◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/general/event/scienceday/2021/

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    2) 研究成果
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    新素材「グラフェンメソスポンジ」の 安価な製造法を開発
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 カーボン材料は電池の必須構成要素であり、活物質や導電助剤として広く利
用されています。東北大学が開発したカーボン新素材「グラフェンメソスポン
ジ」は、緻密に設計されたナノ構造により、従来のカーボン材料を大幅に上回
る優れた多孔性と酸化耐性(化学的な耐久性)の両立を実現しています。また、
この材料は柔軟であり、可逆的に圧縮・復元が可能なため、充放電に伴い激し
く構造変化をする活物質の動きに追従することができ、機械的な耐久性にも優
れています。
 グラフェンメソスポンジは電池の性能を向上させる新素材として期待されて
いますが、従来の製法ではナノ構造を形成するための鋳型材として使用するア
ルミナを溶解除去するために猛毒のフッ化水素酸を用いる必要がありました。
今回の研究では東北大学、東海カーボン、東京工業大学、ロンドン大学クイー
ンメアリー校の連携により、鋳型材を塩酸に可溶な酸化マグネシウムに切り替
えることに成功し、より安全で安価な製造法を確立しました。

論文情報:
“Synthesis of graphene mesosponge via catalytic methane decomposition
on magnesium oxide”
Journal of Materials Chemistry A

Shogo Sunahiro, Keita Nomura, Shunsuke Goto, Kazuya Kanamaru, Rui Tang,
Masanori Yamamoto, Takeharu Yoshii, Junko Nomura Kondo, Zhao Qi,
Azeem Ghulam Nabi, Rachel Crespo-Otero, Devis Di Tommaso, Takashi Kyotani
and Hirotomo Nishihara

DOI:10.1039/D1TA02326H

◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20210601/

◆東北大学材料科学高等研究所(AIMR)
https://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/jp/news/press/2021/20210601_001409.html

◆西原研究室(ハイブリッド炭素ナノ材料研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/nishihara/html/index.html

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    3) 研究成果
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    脂質受容体の新たな活性化機構を解明
    ~脂質がまっすぐ伸びて活性化~
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

 東北大学多元物質科学研究所の南後恵理子教授(兼・理化学研究所チームリー
ダー)らの研究グループは、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)という脂質を認識する
S1P受容体S1PR3のS1Pと結合した状態での立体構造を、X線結晶構造解析によって
解明しました。
 S1Pはその受容体を介して、免疫細胞の体内での輸送、血管透過性、血管の発
生などを制御する生理活性を有する脂質です。そのため、S1P受容体は自己免疫
疾患などの炎症性疾患に対する治療薬の標的となっています。しかしながら、
S1Pがどのように受容体を活性化して細胞に情報を伝達しているかは明らかとな
っていませんでした。本研究によりS1Pは受容体中で脂質鎖をまっすぐ伸ばすこ
とで受容体を活性化することがわかりました。また、脂質鎖の長さによって細胞
内に伝える情報が偏る機構の一端も明らかにしました。これらの情報により、
S1P受容体を標的とした新薬の設計が加速されると期待されます。

論文情報:
“Endogenous agonist-bound S1PR3 structure reveals determinants of
G protein-subtype bias”
(内因性の作動薬と結合したS1PR3の構造から、Gタンパク質サブタイプの偏りの
決定要因が明らかになる)

Shintaro Maeda, Yuki Shiimura, Hidetsugu Asada, Kunio Hirata, Fangjia Luo,
Eriko Nango, Nobuo Tanaka, Masayasu Toyomoto, Asuka Inoue, Junken Aoki,
So Iwata*, and Masatoshi Hagiwara*
Science Advances

DOI:10.1126/sciadv.abf5325

◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20210610/

◆南後研究室(量子ビーム構造生物化学研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/nango/html/

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   4)研究成果
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    新型コロナウイルスの高性能な抗体検査技術を開発
    ~約20分で測定完了!現場診断やワクチン効果の定量的評価に貢献~
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 東北大学多元物質科学研究所の火原彰秀教授らの研究グループは、新型コロ
ナウイルスの高性能な抗体検査技術を開発しました。
 COVID-19の検査には、一般にウイルスの遺伝子を検出するポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)法が用いられています。しかし、検査できる場所に制約があり、検査
の時間と手間がかかる欠点がありました。一方で、迅速なCOVID-19の検査法と
して用いられているイムノクロマト法による抗体検査は、定性的な結果しか得
られず、判定誤差が生じやすい問題がありました。
 同研究グループは昨年、上記の検査技術に代わって、簡便、迅速、かつ高精
度に分析できる可能性をもつ蛍光偏光免疫分析法(FPIA)に着目し、蛍光偏光を
測定できるポータブルな装置を開発するとともに、同装置が鳥インフルエンザ
診断に応用できることを報告しました。今回は、ポータブル測定装置を利用し
て、FPIAを原理とするCOVID-19の抗体検査技術を確立しました。新たな測定試
薬を開発し、ポータブル測定装置の改良を行うことで、COVID-19の抗体検査を
約20分で、わずか0.25μLという検体量で実施することを可能にしました。COVID-
19感染者の血清を用いて評価を行ったところ、高精度に陽性・陰性の判定がで
きることが実証されました。
 本技術により、現場での迅速なCOVID-19の診断が可能となります。また、ワク
チン接種後の免疫反応の定量的評価など、ワクチンや治療法開発のために重要な
役割を果たすことが期待されます。

論文情報:
“Facile and Rapid Detection of SARS-CoV-2 Antibody Based on a Noncompetitive
Fluorescence Polarization Immunoassay in Human Serum Samples”
(非競合FPIA法によるヒト血清中の抗SARS-CoV-2抗体の簡便・迅速な検出)
Biosensors and Bioelectronics(バイオセンサーの専門誌)

西山慶音,高橋和希,福山真央,粕谷素洋,今井阿由子,臼倉拓弥,間石奈湖,
真栄城正寿,石田晃彦,谷 博文,樋田京子,重村幸治,火原彰秀,渡慶次学

DOI:10.1016/j.bios.2021.113414

◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20210617/

◆火原研究室(ナノ・マイクロ計測化学研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/hibara/

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   5) 研究成果
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    高分子材料の結晶配向をナノスケールで可視化
    ~電子顕微鏡をベースとした新規分析法で高分子の研究・開発に寄与~
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 東北大学多元物質科学研究所の陣内浩司教授らの研究グループは、電子顕微
鏡に高感度の検出器を導入することで高分子結晶に対する電子線ダメージを低
減し、さらに、顕微鏡の光学系・測定方法を工夫することで、高分子材料中の
結晶の配向をナノスケールで詳細に可視化することに成功しました。
 この研究成果によって、高分子材料の諸物性(特に力学特性)と結晶構造との
相関を調べることが可能になり、既存の高分子製品の性能向上、さらには、環
境適合型の高分子材料の開発に寄与すると期待されます。

論文情報:
“Nano-diffraction Imaging of Polymer Crystals”
Macromolecules

Shusuke Kanomi, Hironori Marubayashi, Tomohiro Miyata,
Kenji Tsuda and Hiroshi Jinnai

DOI:10.1021/acs.macromol.1c00683

◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20210624/

◆陣内研究室(高分子物理化学研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/jinnai/

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    6) 研究成果
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    電池材料の酸素脱離現象を解明
    ~次世代型蓄電池への応用に期待~
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 東北大学多元物質科学研究所の雨澤浩史教授、中村崇司准教授、木村勇太
助教らの研究グループは、リチウムイオン電池に用いられる酸化物正極材料
をターゲットとして、酸化物正極材料からの酸素脱離現象を詳細に評価し、
材料中の酸素を不安定化する要因を明らかにしました。
 本研究で用いた評価手法や得られた知見は次世代蓄電池に利用される酸化
物蓄電材料にも適用できるものであり、次世代型エネルギー貯蔵技術の発展
を支える基礎学理になることが期待されます。

論文情報:
“Lattice Oxygen Instability in Oxide-based Intercalation Cathodes:
A Case Study of Layered LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2″
Advanced Energy Materials

Xueyan Hou, Kento Ohta, Yuta Kimura, Yusuke Tamenori, Kazuki Tsuruta,
Koji Amezawa, Takashi Nakamura*

DOI:10.1002/aenm.202101005

◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20210625/

◆雨澤研究室(固体イオニクス・デバイス研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/amezawa/html/index-j.html

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    7) 研究成果
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    電池材料粒子内部の高精細な可視化に成功
    ~多次元イメージング計測とデータ科学の連携~
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 東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター 石黒志助教(理
化学研究所放射光科学研究センター 客員研究員)、高橋幸生教授(理化学研究
所放射光科学研究センター チームリーダー)らの研究チームは、リチウム電池
正極材料の一つであるニッケル-マンガン酸リチウム粒子の1粒に対して、2次
元空間での試料の高空間分解能化学状態可視化技術である「タイコグラフィ-
XAFS法」測定を大型放射光施設「SPring-8」で行い、計測データを粒子内部の
マンガンとニッケルの元素分布や価数分布のデータマイニングと連携させるこ
とで、粒子内部の複数の不均一な構造の可視化に成功しました。
 本研究成果は今後、さまざまな先端機能性材料のナノ構造・化学状態分析に
応用されるものと期待できます。

論文情報:
“Visualization of Structural Heterogeneities in Particles of Lithium
Nickel Manganese Oxide Cathode Materials by Ptychographic X-ray
Absorption Fine Structure”

Hideshi Uematsu, Nozomu Ishiguro*, Masaki Abe, Shuntaro Takazawa,
Jungmin Kang, Eiji Hosono, Nguyen Duong Nguyen, Hieu Chi Dam,
Masashi Okubo, Yukio Takahashi

The Journal of Physical Chemistry Letters

DOI: 10.1021/acs.jpclett.1c01445

筆頭著者:上松英司(東北大学 大学院工学研究科 金属フロンティア工学専攻
     修士2年・東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センタ
     ー・東北大学多元物質科学研究所)
責任著者:石黒 志(東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター
     ・東北大学多元物質科学研究所)

◆詳しくは、こちらをご覧ください。
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20210630/

◆高橋(幸)研究室(放射光可視化情報計測研究分野)
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/takahashi-y/html/

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◆多元研|新型コロナウイルス関連情報まとめ

https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_info/tagen_covid19/

多元物質科学研究所の教職員、学生を対象とした新型コロナウイルスの
関連情報をまとめていますのでご覧ください。

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東北地方も梅雨に入り、蒸し暑く感じる日も多くなってきました。
今年は平年よりも遅い梅雨入りでしたが、梅雨明けは数日早い7月中旬のようです。
じめじめした気候が苦手な私にとって、この予報はとても嬉しいニュースです!

一方で、先日夏至も迎え、ずいぶんと陽が長くなりました。
夕飯の支度を終えた後でも、庭作業などが行えるくらまだい明るいので、
夏が近づいてきているのだと感じております。

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 ◆広報情報室では、講演会、シンポジウム、研究成果など
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  _/   発行元:
  _/      東北大学多元物質科学研究所
  _/      広報情報室 022-217-5198
  _/      network-tagen[at]grp.tohoku.ac.jp
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