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お知らせ
学都仙台コンソーシアムサテライトキャンパスにて百生敦教授が公開講座を行いました

10月8日(土) 仙台市民活動サポートセンターにて開催された、学都仙台コンソーシアムサテライトキャンパス公開講座において、量子ビーム計測研究分野の百生敦教授が、「スーパーレントゲン!リウマチや乳がんの早期診断が変わるか?」と題して講演を行いました。当日は、あいにくの雨模様にもかかわらず、27名が参加しました。

20161008_2805X線(レントゲン)は、1895年にドイツの物理学者レントゲン博士によって発見されて以来、骨や肺の状態を調べる画像診断に積極的に利用されてきました。医療以外の分野でも、空港などの手荷物検査や、工業製品を壊さずに調べる非破壊検査など、さまざまな分野で広く活用されています。ところが、従来のレントゲンでは、骨や金属のような密度の大きい物質を高精細な画像で見ることができますが、がん組織や軟骨、プラスチックなどのやわらかい組織を詳しく見ることができませんでした。

光の一種であるX線は波の性質を持っているので、物を透過すると、その物質が柔らかい組織であっても、その波形は変化し、ほんの僅かに屈折(100メートル先で、蟻の触覚の太さほどずれる)します。
百生教授らは、タルボ効果*1 の原理を用いて、このほんの僅かな屈折を検出して画像化する技術、スーパーレントゲンを研究開発しました。複数の格子を用いてモアレ*2 をつくり、コンピュータ処理することによって、MRIより低コストで短時間に高精度な画像を得る技術です。

今回の講演では、まず、レントゲンの発見の歴史、従来のレントゲン技術の特徴についてお話し、百生教授らが研究を進める「スーパーレントゲン」の仕組みについて分かりやすく解説、課題や今後の展望についてもお話しました。また、リウマチ診断のために手指やひざの関節を撮影する技術が、現在、臨床研究の段階にあり、最新の装置が東北大学病院に設置されていることを紹介しました。実用化に向けて、撮影視野の拡大やX線の線量低減などの課題もありますが、将来的には、頚動脈や肺、眼など、他の部位の診断を狙った装置の開発も目指していることなどもお話しました。

講演後には、熱心に聴講していた参加者から、「偏光ガラスと同じ技術ですか?」「ペースメーカーが入っていても画像診断が出来るようになるのでは?と期待しています。」など、たくさんの質問や意見が寄せられ、百生教授が、ひとつひとつ丁寧に答えました。

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歪みのない格子に、ほんの僅かに歪んだ格子を重ねるとモアレ縞が見えます。
 

*1. タルボ効果
周期的構造を持つ物体に光を透過させた時、構造の周期と光の波長で決まる特定の距離だけ離れた位置で、物体の構造を反映した像が形成される効果。
*2. モアレ
規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時、そのずれによって模様が形成される現象。
 

関連リンク:
百生研究室(量子ビーム計測研究分野)ホームページ
JSTサイエンスチャンネル
サイエンスニュース2010(41) X線の位相を利用した新しいX線装置を開発
サイエンスフロンティア21(72) 光が解き明かす世界