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お知らせ
みやぎ県民大学開放講座にて稲葉謙次教授が講演しました。

7月8日、多元物質科学研究所においてみやぎ県民大学公開講座を開催し、28名が参加しました。NPO法人みやぎ生涯学習指導・支援センターの小岩公彦 副理事長による開講の挨拶に続いて、生体分子構造研究分野の稲葉謙次教授が、「細胞の中のタンパク質の一生:不良品タンパク質が引き起こす怖い病気」と題してお話しました。

コラーゲンやヘモグロビンなど、160708_1494_ヒトの体の中ではたらくタンパク質は2万数千種類もあり、合成されてから分解されるまでの時間は30分から数ヶ月とさまざまです。これらのタンパク質が、私たちの体の中でどのように合成されるかについて、図や動画を示しながら紹介しました。また、タンパク質が正しく機能するために、正しい立体構造を効率的に形成するのを助ける分子シャペロンが巧妙に働いていることについて説明しました。これに加え、タンパク質の立体構造形成において重要な役割をもつジスルフィド結合に関して、髪の毛のパーマやうどんの麺のコシができるしくみを例にあげて解説しました。こうして作られたタンパク質のうち、全体の約30%が構造異常(ミスフォールド)に陥り、これら不良品のタンパク質は病気の原因になることもあります。私たちの体の中にある正しいタンパク質と不良品タンパク質を見分けて、不良品タンパク質を選択的に分解するしくみや、それでも分解されずに病気の原因になってしまうタンパク質をバルクで分解するオートファジーシステムについて説明しました。病気の原因になる不良品タンパク質の分解を促す薬の開発など、医学への応用には、基礎的な研究が重要不可欠であることをお話しました。
参加した方々からの「生活環境の変化や遺伝子の先天的変異による影響はどの程度ありますか?」などの様々な質問に、具体的なエピソードを交えて、ひとつひとつ丁寧に答えました。

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次回、最終回のみやぎ県民大学開放講座「生命と化学の接点」は・・・
7月15日(金)14:00~16:00 、
「ゆで卵を生卵に戻すことは可能か? : 2015年イグノーベル賞の解説」と題して、
高橋 聡 教授(生命分子ダイナミクス研究分野)がお話します。

関連リンク: みやぎ県民大学開放講座「生命と化学の接点」
第1回「遺伝子に作用するくすり」永次史教授 開催報告
第2回「生物はなぜ “弱い相互作用” を利用するのでしょうか?- 副作用の少ない、がんや脳梗塞を治すお薬開発を目指して」和田健彦教授 開催報告

 

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東北大学多元物質科学研究所 総務係
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