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プレスリリース
新規ナノ粒子点眼薬の開発と緑内障治療への応用

 東北大学多元物質科学研究所の笠井均教授らによる共同研究グループは、高い眼内移行性を有するナノ粒子点眼薬の開発に成功しました。
 一般的な点眼薬は角膜のバリア機能により、点眼した薬の0.1%以下しか眼内に移行しないことが知られています。本研究は眼疾患治療薬をナノ粒子化することにより、治療薬の眼内移行性の向上と、それに伴う薬理効果の向上を目指したものです。
 今回、笠井教授らは緑内障の治療薬であるブリンゾラミド(商品名:エイゾプト)に難水溶化を施した誘導体を合成し、独自のナノ粒子化技術である「再沈法注1」を駆使して、ブリンゾラミド誘導体のナノ粒子点眼薬を作製することに成功しました。作製したナノ粒子点眼薬は高い薬理効果が確認され、光透過性の向上により点眼時の使用感の改善につながることが期待されます。
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会・科学研究費助成事業・基盤研究(A)、および独立行政法人科学技術振興機構・JST復興促進センター・復興促進プログラムによる支援を受けて、東北大学大学院医学系研究科眼科教室、大内新興化学工業株式会社開発研究所のグループらとの共同研究により実施されました。
 研究成果は、2017年3月14日午前10時(ロンドン時間)付で、英科学誌Scientific Reports(電子版)に掲載されました。
プレスリリース本文

press_20170315

角膜の模式図と点眼薬の眼内移行性

論文情報:
“Creation of nano eye-drops and effective drug delivery to the interior of the eye”
Scientific Reports 7, Article number: 44229 (2017)
Yoshikazu Ikuta, Shigenobu Aoyagi, Yuji Tanaka, Kota Sato, Satoshi Inada, Yoshitaka Koseki, Tsunenobu Onodera, Hidetoshi Oikawa, Hitoshi Kasai
doi: 10.1038/srep44229

関連リンク:
笠井研究室(有機・バイオナノ材料研究分野)
東北大学ウェブサイト

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院多元物質科学研究所
教授 笠井 均(かさい ひとし)
電話番号:022-217-5612
E-メール:hkasai*tagen.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院多元物質科学研究所
助教 小関 良卓(こせき よしたか)
電話番号:022-217-5587
E-メール:ykoseki*tagen.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所 
総務課総務係
電話:022-217-5204
E-mail:soumu*tagen.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)