■ 発表のポイント

・国立大学法人東北大学と、日本電子株式会社は、「日本電子×東北大学　高度マテリアル分析共創研究所」を設置します。
・半導体デバイスに用いられる機能材料などの開発・評価のための計測・分析技術の高度化・革新を目指します。

■ 概要

国立大学法人東北大学（所在地：宮城県仙台市、総長：大野 英男、以下「東北大学」）と、日本電子株式会社（所在地：東京都昭島市、社長：大井 泉、以下「日本電子」）は、2024年4月1日、東北大学青葉山ユニバースに「日本電子×東北大学　高度マテリアル分析共創研究所」を設置します。

半導体デバイス等に用いられる機能材料、各種化学反応に必要な触媒材料、創薬ターゲット等の生体物質、電池・発光素子等に利用されるエネルギー変換材料、自動車・航空機等に用いられる構造材料、水素貯蔵等に利用されるガス貯蔵材料などの開発・評価のための、計測・分析技術の高度化・革新を目指します。

左から：日本電子株式会社 大井代表取締役社長兼CEO、東北大学 大野総長

■ 設立の背景と目的

東北大学と日本電子は、マテリアルイノベーションを加速する新たな電子顕微鏡技術開発とその社会実装を目指し、2019年8月1日に「次世代電子顕微鏡技術共同研究部門」を開設しました。共同研究部門では以下の3つのテーマを掲げ、大学の研究者と企業の技術者の協働研究を実施しました。

3つのテーマ：
・軟X線分析技術の精度向上と応用研究
・ソフトマテリアル対応電子顕微鏡技術の開発
・クライオ電子顕微鏡技術に関する応用研究
約4年間に亘る研究開発を実施し、多くの成果を上げました。
（参照：2023年10月13日開催「次世代電子顕微鏡技術共同研究部門」成果報告会）。

この成果を引き継ぎ、更に発展させると同時に、次世代放射光施設ナノテラスとの連携を基軸として、核磁気共鳴装置など東北大学内に点在する先端分析機器との連携ソリューションの開発を目指します。

カーボンニュートラルの実現に向けて、エネルギーの生産・利用効率向上のための様々な革新デバイスの機能材料開発、自動車や航空機の軽量化のための構造材料の革新、水素や二酸化炭素などガス貯蔵材料の開発などが求められています。環境に優しい製品に必要な高機能で安全な材料開発や、健康で健やかな人生を過ごすための薬や生体デバイスの開発など、ソフトマテリアルの革新は今後ますます重要な研究ターゲットとなるでしょう。一方で、社会イノベーションの牽引役と言われている情報技術やAI技術は、半導体製造技術の高度化やマテリアルの革新なしには進展が困難です。これらの革新を起こすために必要なマテリアル研究・開発はますます複雑になり、その壁を破るためのツールとして、先端分析機器の役割はさらに重要となっています。この春稼働する次世代放射光施設ナノテラスは、この壁を破る有効なツールとして注目されていますが、既存の先端分析機器を連携させることで、より困難な課題解決を目指すことができると期待されます。

本共創研究所は、オープンイノベーション型の共同研究体制を構築し、マテリアルの研究・開発者とともに、より困難な課題解決につながる計測・分析技術の高度化・革新を実現することで社会に貢献していきます。

共同研究部門から共創研究所への発展イメージ

■ 共創研究所の概要

1．名称：日本電子×東北大学　高度マテリアル分析共創研究所

2．活動内容：
東北大学が有する最先端分析研究の知見と日本電子の「創造と開発」する力を融合して、革新的かつ高度なマテリアル分析・評価に関する研究テーマを企画し推進する。次世代放射光施設ナノテラスとの連携により、タイムリーな階層的構造解析システムの構築も目指す。

また、迅速と精密が求められる評価分析システムを開発するために必要な幅広い工学的知識を有し、異分野の評価分析にも対応できる人財を育成する。

3．運営体制：
運営統括責任者：杉沢 寿志 特任教授（日本電子株式会社 経営戦略室オープンイノベーション推進室 参与）
運営支援責任者：寺内 正己 教授（東北大学 多元物質科学研究所）

4. 設置場所：東北大学青葉山キャンパス内 青葉山ユニバース304号室

青葉山ユニバース外観

5．設置期間：2024年4月1日～2028年3月31日

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