"
所長あいさつ

所長あいさつ

多元物質科学研究所(以下、多元研)の所長として3年目を迎えました福山博之です。
本研究所のさらなる飛躍に向けた最新の取り組みと、今年度の展望についてご紹介いたします。

創立25周年の節目を迎えて

多元研は今年、創立25周年という大きな節目を迎えます。これまでの四半世紀にわたる皆様のご支援に深く感謝申し上げます。この記念すべき年を祝し、本年9月には創立25周年記念式典を開催する運びとなりました。これを機に、当研究所が築いてきた「材料」「プロセス」「計測」の三位一体の研究体制を再確認し、次なる25年に向けたビジョンを学内外に発信してまいります。

国際卓越研究大学としての挑戦

東北大学が日本初の「国際卓越研究大学」に認定されたことを受け、多元研では世界トップクラスの研究者を招聘する戦略的人事案を推進してまいりました 。その結実として、今年度、世界的に著名なJürgen Janek教授(固体電池)、Mauricio Terrones教授(カーボンナノ材料)、および William F. DeGrado教授(タンパク質デザイン)の3名が国際卓越教授として着任し、所内の「ブランチラボ」が本格的に始動いたしました。これらのブランチラボは、国際卓越教授と多元研の教員・学生が密に連携し、最先端の研究を有機的に推進する共創拠点です。異分野融合による知の創出を加速させることで、喫緊の社会課題を解決する「新研究センター構想」のエネルギー分野および健康・食糧分野の核として機能させてまいります。

研究基盤のさらなる高度化

運用開始から2年が経過した次世代放射光施設「ナノテラス」は、すでに多くの革新的な成果を生み出しています 。多元研では、今年度も120時間の利用枠を確保しており、所員の皆様にはこの世界最高水準のインフラを最大限に活用し、独自性の高い研究を加速することを期待しています。

金属材料研究所と連携して設置した「東北先端顕微鏡センター(TCEM)」においても、クライオ電子顕微鏡を用いたソフトマテリアルの構造解析が着実に進展しています 。これらの最先端研究基盤を軸に、東北大学が推進する「サイエンスパーク」の実現に向け、中核的役割を担い貢献してまいります 。

産学連携とネットワーク型共同研究の展開

産学連携においては、昨年度、新たにNanoFrontier・日東紡およびUBEとの共創研究所が加わりました。これにより、合計5つの共創研究所が、共同研究部門とともに活発な産学連携活動を展開しています。これは、多元研が社会から求められる研究第一、実学尊重の研究所として高く評価されている証であり、今後も社会に貢献できるように気を引き締めて産学連携活動を展開します。

全国5つの附置研究所(北大電子研、東北大多元研、東京科学大化生研、阪大産研、九大先導研)から構成される「ネットワーク型共同研究拠点及びアライアンス事業」においても各研究所が拠点となり、また研究所間で有機的に連携して創造的な共同研究を展開しています。「アライアンス」事業は今年度で5年目を迎え、本事業を永続的かつ発展的なものとするため、現在、基幹経費化に向けた申請を進めています。物質・材料科学の新たな学術領域の開拓と社会実装に向けた共同研究を、より強固な基盤の上で推進してまいります。

今後の展望

創立25周年という佳節に、3名の国際卓越教授の着任や産学連携体制の拡充、そしてアライアンス事業の新展開という大きな活力を得て、多元研は研究力の更なる向上と異分野融合を推進し、その成果を人類社会の持続的発展へと繋げていく決意です。

今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2026年4月 多元物質科学研究所長 福山 博之