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プレスリリース
反強磁性体におけるマグノン偏光の非相反性 -マグノン旋光性とスピントロニクス素子への応用-

 タイ王国マヒドン大学Matanグループ、米国標準技術研究所Yangグループおよび東北大学多元物質科学研究所佐藤卓グループからなる国際共同研究チームは、反強磁性体を伝わるスピン揺らぎの波(スピン波もしくはマグノン)の非相反性を明らかにしました。反強磁性体では回転方向が逆の2種類のマグノンが存在することが知られています。これらは光に例えると右円偏光・左円偏光に対応します。通常の反強磁性体ではこれらのマグノンは同じ振動数を持ちますが、今回研究対象とした銅バナジウム酸化物ではこれらが方向に依存する異なる振動数を持つことが明らかになりました。振動数の違いはマグノン偏光角の回転に伝搬方向依存性(旋光性)をもたらしますが、このようなマグノン旋光性を示す磁性体は今回初めて見出されたものです。今回の研究結果から、旋光性を電場で制御する可能性(マグノンファラデー効果)も期待され、マグノン電界効果トランジスタなどの新奇なスピントロニクス素子の応用の可能性が拓かれました。
本研究成果は、2017年7月24日米国物理学会誌「Physical Review Letters」オンライン版に掲載されました。

プレスリリース本文(PDF)

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今回観測された反強磁性非相反マグノンの模式図

論文情報:
“Nonreciprocal Magnons and Symmetry-Breaking in the Noncentrosymmetric Antiferromagnet”
G. Gitgeatpong, Y. Zhao, P. Piyawongwatthana, Y. Qiu, L. W. Harriger, N. P. Butch, T. J. Sato, and K. Matan
Physical Review Letters
DOI: 10.1103/PhysRevLett.119.047201

関連リンク:
スピン量子物性研究分野(佐藤卓研究室)
東北大学ウェブサイト

 

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