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お知らせ
サテライトキャンパスにて村松淳司教授が公開講座を行いました

7月23日(土)仙台市民活動サポートセンターにて開催された、160723_1666s学都仙台コンソーシアムサテライトキャンパス公開講座において、ハイブリッドナノ粒子研究分野の村松淳司教授が、「ビールの泡から最先端ナノ材料創製」と題して講演を行い、18名が参加しました。

ビールの泡がきめ細かくてなかなか消えないのは、ビールに含まれている麦芽やホップの苦味成分などがコロイド状に分散して泡の表面に膜を作り出しているからです。「コロイド」とは、おおよそ1ナノメートル~1マイクロメートル程度の小さい粒子が、気体や液体や固体の中に分散している状態をいいます。村松教授は、私たちの身の回りにあるコロイドの例として、実際に分析したいくつかの温泉を例にあげ、その実験の手順や、コロイドの電子顕微鏡写真を示しながら、温泉にシリカや酸化鉄などの粒子が分散している状態を解説しました。さらに身近なコロイドの例として、牛乳やビール、お茶やコーヒーなどをあげました。牛乳は、水の中にカゼインと乳脂肪の細かい粒子が1mlあたり10数兆個も分散していて、これらの粒子に光が乱反射して白く見えますが、カゼイン粒子と脂肪球の大きさに影響されて、青みを帯びたり黄色を帯びて見えたりすることについてもお話しました。

また、実際にビールをグラスに注いで、上手なビールの注ぎ方を紹介しました。ビールを注ぐと、どっと出来た泡がしばらく増えていきます。つまり、一度にどっとたくさんの核が出来てから粒子が成長するのですが、ナノ粒子を合成する際にも、核の生成と粒子の成長が個々に行われ、粒子同士が凝集しないようにしなければなりません。

最先端の研究開発については、タッチパネルディスプレイや鉛を使わない新しいインクなどの構造やプロセスを紹介し、ナノ粒子を用いた新しい材料を開発するうえで、自然に学ぶことも多いと締めくくりました。

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ビールもコロイド。レーザー光を当てると、分散する粒子に光が乱反射して、光の通路が見えました。

関連リンク:
村松淳司ホームページ
学都仙台コンソーシアムサテライトキャンパス公開講座