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固体酸化物形燃料電池(SOFC)について




  固体酸化物形燃料電池(SOFC)とは、電解質に酸化物イオン伝導性セラミックスなどの固体酸化物を用いた燃料電池のことです。固体酸化物形燃料電池の単セルは、下図に示したように電解質、空気極、燃料極の3つの部材から構成されています。空気極では、空気極中の酸素が電子を受け取って酸化物イオンに還元されます。空気極で発生した酸化物イオンは、電解質を通って燃料極までやってきます。そして燃料極で、燃料(例えば、水素や炭化水素)を酸化し、水や一酸化炭素、二酸化炭素を発生させます。この時同時に取り出された電子が外部回路を流れ、空気極までやって来て酸素を酸化物イオンに還元し…という一連の反応が単セル内でおこっています。ではなぜ、酸化物イオンは空気極側から燃料極側へ流れ、その逆は起こらないのでしょうか?それには、空気極側と燃料極側の酸素の濃度差が関係しています。モノは、濃い方から薄い方へ流れる性質を持っています。例えば、水の張った水槽に、絵具を一滴垂らすと、初めは絵具は一箇所にかたまっていますが、次第に水の中に広がっていきます。これと同じように、酸素も、酸素濃度の濃い空気極から、酸素濃度の薄い燃料極側へ、濃度差を駆動力にして移動していきます。ちなみに、この濃度差による駆動力は、熱力学的には空気極側と燃料極側の酸素の化学ポテンシャルの差として表すことができます。したがって、燃料電池は空気極側と燃料極側の酸素の化学ポテンシャル差を起電力として取り出す、濃淡電池の一種ともみなせます。固体酸化物形燃料電池の単セルの電圧は、定格で0.7〜0.85Vと小さいので、家庭用発電機などとして利用する際には、単セルを直列に接続する必要があります。このため、電子伝導性を持ち、かつ空気と燃料の間で安定な材料をインターコネクタとして用い、単セル同士を接続しています。