教授 芥川 智行

芥川研究室は、2010年4月にスタートした研究室です2021年4月現在、スタッフ3名、大学院生12名と四年生2名が研究活動を行っています。オリジナルな研究をやってみたい学生を歓迎しますので、研究内容に興味を持たれた方は気軽に声をかけてください。最後の学生時代を、立地条件の良い仙台中心部の片平地区で、過ごしてみませんか? 研究室は、多元研のマテリアル・計測ハイブリッド研究センターに所属しています。有機-無機ハイブリッド材料や多重機能を有するハイブリッド材料など多様な物質・集合状態を研究対象とします。新しいサイエンスの開拓をを追求しますが、将来的な材料化を視野に入れた研究を展開します。我々の研究に、少しでも興味を持って頂ければと思います。

 2010年に研究室を立ち上げ2名の4年生を受け入れました。2011年の地震を経て、研究室はずいぶんと整備され、新学術領域研究「π造形科学」事務局としての仕事も軌道に乗り、落ち着いて研究活動が行える環境が整ったと思われます。幸運なことに、最初の学生2名が大学院博士課程まで進学してくれて、無事に2016年3月に学位修得とともに卒業しました。両名には、東北大学総長賞を受賞するなど立派な業績を残してくれると同時に研究室運営ならびに後輩の指導などに多大な協力をして頂いたこと、良い学生に巡り会えたことに大変感謝しています。今後、ますます活躍することを心から願っています。ある意味、芥川研創生期(動物園時代)が終わり、少し落ち着いた環境で多くの学生を育てる時期に移行している気がしますが、再度、研究室から総長賞を受賞する学生が現れる様に、全力で学生の指導を行いたいと考えています。研究室のニックネームが、動物園から何になるのか、ユニークな学生との出会いを楽しみにしています。2021年4月26日記

工学研究科 九葉会会報での自己紹介です。
 九葉会の皆様には、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。平成22年4月より、多元物質科学研究所 高分子・ハイブリッド材料研究センター ハイブリッド材料創製研究分野を担当する事となりました芥川智行と申します。この場をお借りして、自己紹介をさせて頂きます。 私は昭和41年に札幌に生まれ、昭和60年に札幌北高等学校を卒業し、北海道大学理科Ⅰ類に入学しました。北海道大学理学部化学第二学科の固体化学研究室で、松永義夫先生のご指導のもとで「特異な分子形状を有する液晶性化合物の合成と物性」に関する卒業論文および修士論文の作成を行いました。松永先生からは、有機分子およびその集合体の多様性に関して、分子の設計と合成の楽しさを教えて頂き、研究者として礎を築いて頂きました。
 博士過程は、研究場所を変えて、平成3年4月に京都大学大学院理学研究科化学専攻の斉藤軍治先生(現名城大教授)の研究室に進学しました。当時の斉藤研は、有機超伝導体の開発で世界のトップを走っており、多くの大学院生が華々しい研究を行っていました。斉藤先生から、”皆がやっていない新しい事を自分で考えて研究しなさい”と言われ、有機超伝導とはあまり関係の無い、「新規な電子-プロトン連動型の電荷移動錯体の合成と物性」に関する研究を行いました。水素結合性の電荷移動錯体の電子移動状態とプロトン移動状態を系統的に調べる事で、酸化還元特性および酸解離特性と電子・磁気物性の相関に関する研究論文をまとめました。
 平成7年2月から、生まれ故郷の北海道に戻り、北海道大学・電子科学研究所の中村貴義先生の研究室で助手として新たな研究をスタートさせる機会に恵まれました。当時、中村研究室には装置も人も無く、中村先生との二人三脚で研究室の立ち上げを行い、有機結晶の導電性や磁性などに加えて超分子化学の手法を導入した新規な分子集合体の開発を行いました。幸いにも、初期に行った電子伝導とイオン伝導が共存したイオンチャネル型の遷移金属錯体の研究成果が、Nature誌に掲載されました。その後、Langmuir-Blodgett膜、ゲル、ミセルなどのソフトな分子集合体を分子エレクトロニクス材料に展開させるための基礎研究を行いました。また、無重力下でのポリマー作製に関する研究を、北海道の上砂川町に有る炭坑を利用した無重力実験施設で、約5年間行いました。縦坑に装置を自由落下させる事で得られる10秒間の無重力状態で、導電性ポリピロールの重合反応などを試みました。同時に、JSTのさきがけ21研究を行うチャンスに恵まれ、分子性導体や磁性体と超分子化学・界面科学を融合させた新規な分子集合体の物性研究を行い、これらが今日の研究の礎となっています。東北大学に赴任する前に、分子性結晶中の分子回転と強誘電性が連動した興味深い分子ローター型錯体の開発に成功しました。今後は、人工分子モーターの開発など、ハイブリッド材料の観点から分子デバイスの実現に向けた新たな研究を進めたいと考えています。
 微力ではございますが、本学の発展に少しでも貢献できるように教育・研究に努力して行く所存でございますので、今後ともご支援・ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます
  •                  あくたがわ犬(吉井作)