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[Publication] 流動する磁気スキルミオン格子の変形挙動の観測に成功; Deformation of the flowing magnetic skyrmion lattice

PrV2Al20電流中の磁気スキルミオンの動きを調べるプロジクトの成果報告第一弾です。磁気スキルミオンとは渦上の、磁気モーメントを連続的に変形させてもトリビアルな強磁性状態に戻せない位相幾何学における欠陥の一つであり、一度形成されると粒子のように振る舞うと考えられています。近年、カイラル磁性体MnSiにおいて磁気スキルミオンが三角格子を形成して存在することが明らかにされました。また、磁気スキルミオンは電流と強く結合することが予想されており、実際過去の研究から、磁気スキルミオンが僅か106 A/m2 程度の電流密度により駆動していることが知られていました。しかしながら、電流を印加した状態での磁気スキルミオン流動挙動までは解明されておらず、微視的な実験手段によりその解明が望まれていました。

我々は磁気スキルミオンが安定的に存在する相を持つカイラル磁性体MnSiに電流を印加し、電流駆動状態での磁気スキルミオンの微視的挙動を中性子小角散乱手法を用いて詳細に調べました。その結果、磁気スキルミオンは106 A/m2 の電流密度を印加すると三角格子を保ったまま流れはじめることが観測されました。また、試料の端付近では磁気スキルミオン格子が塑性変形を起こしながら流れていることが明らかになりました。

これらの結果は、これまで微視的な観測手段で明らかにされてこなかった位相幾何学における欠陥の流動挙動を初めて明らかにしたものです。プレスリリースはこちらからどうぞ。(文責:奥山)

D. Okuyama, M. Bleuel, J.S. White, Q. Ye, J. Krzywon, G. Nagy, Z.Q. Im, I. Zivkovic, M. Bartkowiak, H.M. Ronnow, S. Hoshino, J. Iwasaki, N. Nagaosa, A. Kikkawa, Y. Taguchi, Y. Tokura, D. Higashi, J.D. Reim, Y. Nambu, and T.J. Sato
Deformation of the moving magnetic skyrmion lattice in MnSi under electric current flow
Communications physics, 2, 79(7) (2019).
DOI:10.1038/s42005-019-0175-z

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