研究

電子顕微鏡法に立脚したナノスケール多元解析システムの構築

弾性散乱非弾性散乱特性X線

量子サイズ効果、軌道整列効果などが支配する量子ドット、ナノチューブ、GMRナノクリスタルなどの物性解明には、従来のマクロスケールの物性解析手法ではなくナノメーター(1nm = 10-9m)スケールでの物性解析手法が必要不可欠です。これは電子ナノビームを用いることによってのみ可能となります。電子ナノビームを使うと

  1. 物質を100万倍以上に拡大して原子を直接視ることができます。

  2. 回折パターンから、物質のシンメトリーをはじめとする逆空間の情報が得られます。

  3. エネルギー分析によって数meV1000 eV という広いエネルギー領域にわたる物質の素励起(フェルミ準位近傍から内殻準位の電子励起まで)を調べることができます。

このような実空間、逆空間、エネルギー空間に関する情報が得られる電子ナノビームをプローブとして使うと、物性物理の興味ある多くの問題を解明することができます。

本研究室では、電子ナノビームを用いた局所構造解析および局所電子状態解析のための世界最先端の 装置開発および解析手法の開発と、その物性物理学への応用を行っています。 これまでに、世界最高の分解能12meVを誇る 超高分解播子エネルギー損失分光装置、および 世界初の精密構造解析用分光型電子顕微鏡の開発に成功しました。 また、最近新たに世界初の電子顕微鏡用軟X線分光装置の開発に取り組んでいます。

研究テーマ

  1. C60、ナノチューブ(フラレン)やボロン化合物の電子状態の研究

  2. ナノスケールの精密構造解析法(装置および解析フトウェア)の開発

  3. 準結晶など非周期(高次元)物質の構造および電子構造(擬ギャップ構造)の研究

  4. 銅酸化物高温超伝導体、マンガン酸化物など強相関電子系物質の結晶構造・ 電子密度分布および電子状態の研究

  5. 強誘電体における構造相転移および電子状態の研究

  6. 半導体、人工超格子、量子井戸等における格子欠陥および界面構造の研究

装置

  1. オメガ型エネルギーフィルター電子顕微鏡(JEM2010FEF)

  2. 高分解能電子エネルギー分析電子顕微鏡(HREA80)

  3. 電子顕微鏡用軟X線分光装置

  4. 透過型電子顕微鏡 JEM2010, JEM2000FX

  5. 計算機(BeowulfPCクラスタシステム, Alphaワークステーション)

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