金属資源循環システムの構築に向けて
Introduction はじめに
「Multi-metal Smelting」による金属資源循環システムの構築
現代の非鉄製錬分野において、「Multi-metal Smelting」の概念が多種類の金属資源の循環利用を達成するために極めて重要な技術概念となっている。これは、非鉄製錬における銅、鉛、亜鉛といった従来の金属種ごとの製精錬工程を有機的に統合すること、つまりは、プロセス技術としては、鉱物処理、焙焼や酸化・還元を伴う乾式製錬、湿式製錬、電解製錬など多様な技術を有機的に統合してシステム化ことを根幹としている。この「Multi-metal Smelting」の概念に基づき高効率に統合されたシステムにより、鉱石のみならず、複雑な組成を持つE-scrapや廃棄物、製錬副産物などの二次原料から、ベースメタルのみならず多種類のマイナーメタルや貴金属を効率的に抽出・精製することが可能となる。現実的には、日本国内に現存する多様な製精錬設備を活用し、各製錬所への二次原料の装入と発生する副産物や中間原料の効率的な相互流通による統合化を想定している。この取り組みは、将来に向けた資源循環型社会の達成に対する非鉄製錬業界の決定的な貢献と位置付けられる。
本研究分野では、「Multi-metal Smelting」の概念に基づき、金属資源循環システムの構築に資する研究活動を行っている。具体的な個別の開発案件としては、海底鉱物等の新規鉱物資源の製精錬技術、新規的な電解製精錬技術、二次原料の前処理技術、廃棄物の無害化処理技術、製錬副産物からの金属抽出と環境負荷元素の安定固定化など、多岐に渡る研究開発を行っている。主に化学熱力学を学問ベースとした研究開発を行っているが、その他にも化学熱力学のみでは対応できない技術課題へも積極的に取り組んでいる。

