Ni4分子磁性体のスピンハミルトニアン解明
卒業生の飯田一樹さんの博士課程のお仕事の一つであるNi4分子磁性体のスピンハミルトニアンの解明が Phys. Rev. B に掲載されました。Ni4 は反強磁性相互作用するS=1スピン4つが正四面体をなす物質で、当初典型的なフラストレート量子スピンクラスターと考えられていました。飯田さんは中性子非弾性散乱と数値計算による散乱断面積解析を駆使して、この物質のスピンハミルトニアンを正確に決定しました。その結果簡単なハイゼンベルグ相互作用に加えて、双二次相互作用、シングルイオン異方性等様々な相互作用が働いている事が判明しました。特に双二次相互作用の存在は大変興味深く、この物質を舞台に新しい物理現象が現れる事が期待されます。