二次元ダイマー反強磁性体Ba2CuSi2O6Cl2において、トリプロンがトポロジカルに非自明な状態を形成することを明らかにし、トポロジカルに保護された端状態の存在を提案しました。本物質はトポロジカル絶縁体の最も基礎的な電子模型であるSu-Schriffer-Heeger(SSH)模型を、磁気準粒子を用いて実現する初めての物質例です。本物質で実現する端状態の物性を実験的にとらえることができれば、将来的には省エネルギー情報伝達材料の高度化にもつながると期待されます。
磁気励起をトポロジカルな観点から調べようという動機で始めた研究ですが、まさか本当に結晶構造が歪んでSSHになるとは予想しておりませんでした。思いのほか解析的計算も苦労しましたが、手計算できちんと解けるのはシンプルでいいですね。
今回はプレスリリースも用意しました。図はPOV-Rayで作成しています。結構きれいな図ができました(文責:那波)。
Kazuhiro Nawa, Kimihiko Tanaka, Nobuyuki Kurita, Taku J Sato, Haruki Sugiyama, Hidehiro Uekusa, Seiko Ohira-Kawamura, Kenji Nakajima, and Hidekazu Tanaka
Triplon band splitting and topologically protected edge states in the dimerized antiferromagnet
Nature Communications, 10, 2096 (2019.05)
DOI:10.1038/s41467-019-10091-6