その昔、反転心を持たない強磁性体中では、マグノン(スピンのゆらぎの波)の伝搬速度に方向依存性が出ること(非相反性)を報告いたしました。では、反強磁性体では?素朴な疑問ですね。実は我々が最近ずっと研究してきている a-Cu2V2O7 は反転心を持ちません。しかも、最低温の磁気構造は(おおよそ)簡単なコリニアー反強磁性構造です。というわけで、そのマグノンを測ったところ、、、なんと、マグノン分散関係が綺麗に割れています!しかも線形の交差点まで!!!実はこのデータ、実験自体はマタン先生がかなり昔に行なっていたのですが、解釈がなかなか思いつかなくて(私も一緒に)ウンウン唸っていました。でも、昨年末2度ほどマヒドン大学を弾丸訪問してようやく解き明かしました。やっぱりDM相互作用は面白い!
というわけで、今回もプレスリリースとやらを行なってみました。今回は色々なオンラインメディアが取り上げてくれたようですので完全な空振りというわけではなかったようです。よかった、、、
- G. Gitgeatpong, Y. Zhao, P. Piyawongwatthana, Y. Qiu, L. W. Harriger, N. P. Butch, T. J. Sato, K. Matan
Nonreciprocal Magnons and Symmetry-Breaking in the Noncentrosymmetric Antiferromagnet
Phys Rev Lett,119(4),047201-1-047201-5(2017.7)
DOI:10.1103/PhysRevLett.119.047201