強磁性体の励起状態ではマグノンと呼ばれるスピンの協力的な運動が準粒子として生成されます。もうすこし砕いて言うとスピンの運動が波のように磁性体中を伝わるのです。さて、普通の強磁性体ではマグノンが右に進むのも左に進むのも同じ速度です。でも、反転対称を失った結晶では両者が異なることがあります。理論的には良く知られていたこの効果ですが、(多分世界で初めて)中性子散乱での直接観測に成功しました。ちょっと左のグラフを見てください。なんだか変だと思いませんか?思いませんか?思いますよね???詳しくは論文をどうぞ。
Taku J. Sato, Daisuke Okuyama, Tao Hong, Akiko Kikkawa, Yasujiro Taguchi, Taka-hisa Arima, and Yoshinori Tokura,
Magnon dispersion shift in the induced ferromagnetic phase of noncentrosymmetric MnSi,
Phys. Rev. B 94, 144420 (2016)
doi: 10.1103/PhysRevB.94.144420