反転対称を有しない系では色々と面白そうな事が起こりそうです。例えば、パリティの異なる状態間に重なりが生じますし、磁場も無いのにスピン分裂したりもします。磁性体では良く知られているように反対称相互作用（ジャロシンスキー・守谷相互作用）が生じたりします。反対称相互作用は長周期ヘリカル磁気構造を安定化したりするのでとても興味を持っているのですが、我々の大好きな希土類磁性体ではあまり見かけませんでした。そこで、修士学生の牧野君が色々と物質探索してくれて、Pr5Ru3Al2という化合物に行き当たりました。この物質の対称性はI213です。中性子粉末散乱では111方向の長周期ヘリカル構造が確認されました。あれっ？面白そうだと思いませんか？
Koya Makino, Daisuke Okuyama, Maxim Avdeev, and Taku J. Sato
Incommensurate Magnetic Structure in the Cubic Noncentrosymmetric Ternary Compound Pr5Ru3Al2
J. Phys. Soc. Jpn. 85, 073705-1-5 (2016)
DOI:10.7566/JPSJ.85.073705
