さて、その122系鉄系超伝導体ですが、As->P と置換した際には電子もホールもドープされないにもかかわらず超伝導が発現します。しかもこの置換でFeの2次元正方格子中には異原子が入らないという利点があります。しかし、この試料はPの高い蒸気圧の為試料作成が難しいです。我々は最近メカニカルアロイング法を用いて常温で元素原料を合金化することで前駆体を効率的に作製することに成功しました。この前駆体を用いた場合も、通常のフラックス法で結晶を得るとが出来ます。前駆体合成はなんと10分程度(長くても1時間程度)で終了するため前駆体合成時間が大幅に短縮されました。学生の高橋君の頑張りの賜物です。
Kosuke Z. Takahashi, Daisuke Okuyama, Taku J. Sato
Utilization of mechanical alloying method for flux growth of single crystalline BaFe2(As1−xPx)2
J Cryst. Growth 446, 39-41(2016)
DOI:10.1016/j.jcrysgro.2016.04.047