この論文はなかなかに感慨深いものがあります。実験したのはもう何年前になるでしょうか。その頃修士の学生さんだった牧野君が精緻なpythonスクリプトを書き上げて磁場や温度変化を再現性よく制御した実験を行ってくれました。(オーストラリアで実験していたら帰りの日に雹にふられて大変だったんだっけ。)その後、ポスドクとして参加してくれた Johannes さんが、これまた精緻なpythonスクリプトを書き上げて、大量のデータを一気に(そして完全に同じ条件で)解析してくれました。(ここまでは PRB 2017 に一部報告いたしました。)牧野君が卒業し、Johannes も新天地へと旅立った後、学部学生として松坂君がやってきてくれました。彼がやってきた途端コロナもやってきて中性子実験が難しくなったのですが、その逆境をチャンスに変えて(fortran で Monte Carlo コードを書き上げて)skyrmion 相の高調波変調を計算で再現してくれました。この間、たえることなく励ましてくれた Elliot の力もあって、ようやく論文にまとめ投稿することができたのが今年の4月です。投稿してからはあっという間でした。長い期間の多くの人の努力が身を結んだ論文です。Editor’s suggestion (https://journals.aps.org/prb/highlights) にも選ばれてちょっと嬉しいです。