スキルミオン相にも色々とありますが、絶縁体化合物であるCu2OSeO3では、お互いに30度異なる2種類のスキルミオン相の存在が知られていました。しかし、どういう条件でそれらが形成されるかがよくわかっていませんでした。我々は温度条件を精密にコントロールした中性子小角散乱を行うことにより、これらの2種類の生成条件、および共存条件を明らかにしました。なんと、高温から温度を下げて作るときと、低温から温度をあげて作るときで異なる相が出来るのでした。左図に示されているように、これらは時には共存もします。修士学生の牧野くんが極めて綿密なPythonスクリプトを書き上げて温度履歴制御下での実験を可能にしました。助教の Johannes さんは、これまた綿密なPythonスクリプトを書き上げて、数千のデータファイルを一気に解析してくれました。二人の強力なタッグで論文になりました。
- Koya Makino, Johannes D. Reim, Daiki Higashi, Daisuke Okuyama, Taku J. Sato, Yusuke Nambu, Elliot P. Gilbert, Norman Booth, Shinichiro Seki, Yoshinori Tokura
Thermal stability and irreversibility of skyrmion-lattice phases in Cu2OSeO3
Phys. Rev. B,95(13),134412-1-134412-10(2017.4)
DOI:10.1103/PhysRevB.95.134412