高純度金属の精製において、金属不純物は主に塩酸水溶液中の陰イオン交換精製により除去します。各々の金属イオンが塩酸水溶液中でどのくらい陰イオン交換樹脂に吸着するのかが大変重要です。水溶液中の金属イオンで、塩素が金属イオンの酸化数より多く配位して負に帯電する錯体のみが陰イオン交換樹脂に吸着することから、吸着挙動は金属塩化物錯体の分布に強く依存します。しかしながら、金属塩化物錯体の分布は、明らかになっていないものが多いのが現状です。データブックなどに多くの報告値が掲載されていますが、バラツキが大きく、信用すべき値がどれなのか、判断に迷います。さらに、濃厚溶液中の塩素の活量の取り扱いにも注意を要します。
そこで当研究部門では、より効率のより精製工程構築、究極の高純度金属精製のため、陰イオン交換反応解析の基礎的知見を得るために、紫外可視/X線吸収分光の主成分分析を基とする解析手法を駆使して、種々の金属塩化物錯体分布を確定しています。
下記で、具体的な方法について解説します。
目次
3. 熱力学モデルの最適化
3.1. 熱力学モデルの構築
3.1.1. 活量の取り扱い
3.2. 最適化
3.3. 熱力学モデルの決定
4. 熱力学モデルの検証
4.1. X線吸収分光による錯体構造決定
4.2. 第一原理計算による検証