金属を高純度化すると、その特性はどのようになるのでしょうか?
変わる? 変わらない?
答えは”変わる”です。では、どのように変わるのでしょうか?
- 機械的特性:軟化する、再結晶温度の低下、etc.
- 腐食特性:耐食性の向上、
などが報告されています[1,2]。
従来、「金属を高純度化すると特性が変わる」と言われて来ましたが、これは本来、
「高純度化することで、元素本来の性質が現れる」
と考えるべきです[1]。一例として、Fe-C系状態図に記載されているFeの融点があげられます。Feの融点は、時代が下るにつれて、上がります。これは、試料の不純物量が減って、凝固点降下による影響が小さくなり、本来のFeの融点に近づく、すなわち融点が上昇してきたことを示します。
以上の特性の変化は、金属を高純度化して初めて分かります。ここでは、どのように金属を高純度化するのか、について解説します。
金属の高純度化工程
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参考文献
[1] 鈴木茂, 三村耕司, 一色実: 高純度鉄の精製といくつかの特性, ふぇらむ, 10 (2005), p. 491–496.
[2] 打越雅仁: 高純度鉄の精製法と特性, ふぇらむ, 22 (2017), p. 695–702.