東北大学多元物質科学研究所
住友金属鉱山共同研究ユニット 非鉄金属製錬環境科学共同研究部門

湿式製錬・分離の分野では、特定の元素・イオンの選択的抽出を目指した官能基の開発に重きが置かれていました。最近、官能基の開発に加えて、被抽出イオンの水溶液中での状態も重要であるとの見解が発表されました（Billard I., Švecová L.: Journal of Solution Chemistry, 47 (2018), 1291–1292. doi: 10.1007/s10953-018-0797-x）。

この論文では、HCl溶媒中でのコバルト(II)クロロ錯体がどのような構造で存在しているかを実験的に決定しました。これはまさに水溶液中でのコバルト(II)イオンの状態を明らかにした大変重要な成果です。ここで決定した構造を基に、例えば陰イオン交換樹脂の4級アンモニウム型官能基にどの錯体が吸着するのかを明らかにできます。

Uchikoshi M., Shinoda K.: Determination of structures of cobalt(II)-chloro complexes in hydrochloric acid solutions by X-ray absorption spectroscopy at 298 K, Structural Chemistry, 30 (2019), 945–954. doi: 10.1007/s11224-018-1245-7

コバルト(II)クロロ錯体の構造