共同研究部門設置経緯

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はじめに —非鉄金属製錬業の持続的発展を目指して—

近年、資源ナショナリズムの高まり、鉱山の奥地化、環境問題など非鉄金属製錬産業を取り巻く環境は厳しさを増し、国際情勢は急激に変化しています。また、鉱石の品位低下や忌避不純物の増加など製錬に直接関わる課題も年々拡大しています。このような状況下で、海外メジャーと対峙し国際競争力を維持していくためには、資源開発や製錬事業における技術革新および優秀な技術者の育成が必要です。

一方で、資源開発や製錬を専門とする学部・講座・教授の数は減少を続け,1993年に比較して約1/3にまで減少してしまいました。このままでは、非鉄金属製錬技術者の枯渇が現実のものとなる恐れが出てきました。加えて企業間取引(BtoB)を主とする業態のため、一般への知名度が低く、就職業界として積極的に選択する学生が少ないことも、優秀な人材確保の障害となっています。

このような状況を大きく転換させるため、東北大学多元物質科学研究所と住友金属鉱山株式会社は、一年をかけて検討を重ね、構想を練り、国内非鉄金属製錬業の持続的発展のための共同研究部門を2018年4月に開設することと致しました。

【目的】

共同研究部門開設に関する記者会見の様子。左から、東北大学多元物質科学研究所副所長 福山博之教授、同所長 村松淳司教授、東北大学理事(産学連携)矢島敬雅氏、住友金属鉱山株式会社 代表取締役副社長 久保田毅氏、同執行役員技術本部長 今村正樹氏。 (2018年4月5日住友会館にて)

  • 日本の非鉄金属製錬業界全体の利益に資する共同研究テーマの推進
  • 次世代の非鉄金属製錬業界を担う人材育成
  • 非鉄金属製錬業の社会への啓発活動

【共同研究部門概要】

部門名 非鉄金属製錬環境科学研究部門
(住友金属鉱山共同研究ユニット)
設置期間 2018年4月〜2023年3月(5年間)
メンバー 福山博之教授(研究統括・兼任)
村松淳司教授(兼任)
柴田浩幸教授(兼任)
打越雅仁准教授
井手上敦客員教授

 

主な活動

当部門は、業界全体の利益に資する共同研究と次代を担う人材育成を目的としています。

多元物質科学研究所内の金属資源プロセス研究センター、東北大学大学院環境科学研究科、同工学研究科との密接な連携をはかり、さらに他大学、他企業、各機関など、多くの方々のご協力をいただいて、目的を達成すべく、下記の活動を展開しています。

【共同研究テーマ】(詳細はこちら

  • 各種スクラップなどの二次原料、工程内廃棄物を含めた多様な製錬原料に含有する有価金属の効率的分離回収に関する研究
  • 非鉄金属製錬操業の先進化に関する研究
  • 非鉄金属製錬中間物および廃棄物の有効利用と再資源化に関する研究
  • 忌避金属の用途開発に関する研究

【人材育成・非鉄金属製錬業の啓発活動】

  • 工場見学(非鉄金属製錬セミナー)
  • 特別講義『非鉄金属製錬環境科学特論』開講

 

部門紹介記事

より詳しくは、下記部門紹介記事をご覧ください。

  1. 福山博之: 「多元物質科学研究所-住友金属鉱山共同研究部門発足 ~国内非鉄金属製錬業の持続的発展を目指して~」, 季刊 資源と素材, 第3巻夏号 (2018), 95–96.
  2. 打越雅仁: 「非鉄金属製錬業の持続的発展を目指して」, まてりあ, 第58巻第2号 (2019), 107. DOI:10.2320/materia.58.107
  3. 打越雅仁: 「住友金属鉱山共同研究ユニットにおける産学連携」, まてりあ, 第59巻第9号 (2020), 466–471. DOI:10.2320/materia.59.466

※文献1.は、資源素材学会様より、文献2.、3.は、日本金属学会様より、転載許諾を得て公開しております。

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