研究室見学は随時受け付けています。ご連絡はmaiko.nishibori.d8[at]tohoku.ac.jpまで。
西堀研究室では、放射光計測と計算科学を駆使して様々な材料の構造形成ダイナミクスを解明し、新奇機能材料創成に展開することを目指しています。
エネルギーデバイスの鍵となる機能材料は、広い時空間スケールで階層的な構造を形成し、それらが相互作用することで物性や機能を司っています。したがって、その特性や機能発現機構を正しく描像化するためには、原子から粒子にわたる広いスケールでの構造ダイナミクスを理解することが必要です。当研究室では、放射光を用いた分光法や散乱計測、計算科学を駆使して様々な材料の時空間階層構造を解明し、新奇材料創成に展開することを目指しています。
主な研究テーマ
(1)高分子−セラミックスハイブリッドナノ材料の合成と応用
高分子鎖を基材上に固定化したポリマーブラシは、ブラシ間のナノ空間によりサイズ排除性を有することから、ブラシ間距離(グラフト点間の距離)に応じたサイズの分子やイオンを選択的に取り込むことができます。当研究室では、この性質を利用し、ポリマーブラシを鋳型とした金属酸化物担持パラジウムナノ粒子の合成を試みるとともに、その反応過程をエネルギー分散型X線吸収微細構造測定により追跡し、ポリマーブラシが反応に与える影響を明らかにしています。さらに、重合開始基を修飾した基板の表面化学状態をX線光電子分光により計測するとともに、密度汎関数理論に基づいた第一原理計算により基材表面に対する重合開始基の吸着サイトおよびその最安定構造の解明にも取り組んでいます。
(2)機能性材料の合成メカニズムと機能発現メカニズムの解明
ゼオライトはオングストロームからナノサイズの細孔をもつ多孔質材料であり、骨格構造や異種金属(ヘテロ)原子置換により分子との相互作用をコントロールできることから、触媒や分子の吸着分離・貯蔵に有用です。ゼオライト骨格内で孤立したヘテロ原子は、通常の酸化物とは異なる特異的な触媒作用を発現し、ヘテロ原子(活性点)位置の制御に着目した研究が盛んに行われています。当研究室では、放射線X線吸収分光や共鳴X線非弾性散乱により、ゼオライト骨格中のヘテロ原子位置や局所構造を原子レベルで解析する方法の確立に取り組んでいます。
(3)放射光を駆使した階層構造のマルチスケール解析
材料研究は日進月歩しており、有機-無機ハイブリッド材料、酸化物イオン伝導体などの機能性材料や構造材料が日々開発されています。これらの材料は原子からマクロに至るマルチスケールの階層構造と対応した時間スケールのダイナミクスを有しており、こうした時空間階層構造が材料物性を支配しています。当研究室では、放射光計測を駆使して熱、光、応力など外場下におけるハイブリッドナノ材料の時空間階層構造をマルチスケールで可視化し、合成メカニズムや機能発現メカニズムの解明に取り組んでいます。