ー極限ナノ造形を目指した界面機能分子制御ー
中川研究室では、有機高分子と金属・無機物質の界面機能を分子レベルで精密に設計・制御する、界面機能分子制御*により、新たな⾼分⼦薄膜系ソフトナノ材料の創出やその微細加⼯法の提案を⾏い、シングルナノからマイクロ領域の電⼦・光学デバイスの作製を目指した研究を⾏っています。
*有機分子や高分子の吸着単分子膜により、無機酸化物、金属、高分子の材料表面における濡れ、摩擦、付着、化学反応性などの性質を制御すること
主な研究テーマ
レーザー加工孔版印刷+光ナノインプリント成形による極限ナノ造形
蛍光モアレアライメント法を用いた極限位置合わせ
一桁ナノ造形の化学・物理学・界面分子科学の構築
研究テーマ概要
■ レーザー加工孔版印刷+光ナノインプリント成形による極限ナノ造形
当研究室で独自に提案して検証を進めるレーザー加工孔版印刷+光ナノインプリント成形「Print and Imprint」法(特許登録)による極限ナノ造形に取り組んでいます。
高分子薄膜へのレーザー穴あけ加工と孔版印刷により高粘度光硬化性液体の位置選択的塗布が可能となりました。Print and Imprint法による桁違いにサイズの異なるナノサイズからマイクロメートルサイズが共存した二次元構造体の大面積作製や、三次元積層化を目指しています。
■ 蛍光モアレアライメント法を用いた極限位置合わせ
これまで蛍光色素含有光硬化性液体を開発し、光ナノインプリントプロセスの可視化や成形された極微細パターンの高精度での検出を示してきました。
さらに、インプリントの際に蛍光性液体を使用して周期の異なる格子パターンの重ね合わせから発生するモアレ干渉縞を計測することで、蛍光顕微鏡観察下においてサブミクロンオーダーの位置合わせの原理を実証しました。
現在、一桁ナノメートルオーダーの位置合わせの研究を進め、蛍光アライメント搭載ナノインプリント装置を開発しています。
■ 一桁ナノ造形の化学・物理学・界面分子科学の構築
界面機能分子制御に基づいた光ナノインプリントリソグラフィにより、一桁ナノメートルの構造造形を目指しています。
中川研究室では、このサイズ領域において分子液体の固体表面との相互作用による分子液体の粘度増加や高分子鎖の束縛が顕著に現れることを明らかにしました。また、電子線リソグラフィ、光ナノインプリントによる溶融石英や高分子材料の一桁ナノ造形を原理実証しました。
今後も、一桁ナノ構造造形に関わる化学、物理、界面分子科学を追及していきます。
光機能材料化学とは…
1) 光で着ける・光を制御する
~金属微細構造形成・応用展開~
ナノインプリントリソグラフィにより高分子薄膜の微細パターンを作製し、基板加工を行うためには、高分子薄膜が基板上に安定に形成されている必要があります。
基板表面を光反応性単分子膜によって修飾し、光架橋反応により高分子薄膜と基板を化学的に結合させると、微細パターンの寸法精度を向上できることを見出しています。
多様な基板や高分子に応じて密着層として機能する反応性単分子層の探求を行っています。
2) 光で見る
~微細形状観察に適した光機能材料~
光ナノインプリントリソグラフィにより100nm以下のパターンを作製するためには、極薄・高耐久性の離型層が必要になります。このため、均一な単分子膜によって優れた離型性を示す分子を、界面化学の立場から探索しています。
さらに、蛍光性光硬化樹脂によって、光ナノインプリントプロセスを可視化するとともに、作製された極微細パターンを高精度で検査できる技術を開発しています。
3) 光で作る・光を制御する
~光硬化性樹脂の開発および光機能素子への展開~
光ナノインプリントをはじめとして、光硬化性樹脂は微細加工形成の分野で幅広く用いられています。透明性が高く成型が容易であるという高分子と、高屈折率かつ高い耐久性を有する無機ナノ粒子の特性を合わせ持つ、複合材料の開発を行っています。
さらに、光導波路などの光機能素子への展開を図るため、新規材料探索などを行っています。
4) 光を制御する
~液晶高分子とZnOナノロッドのハイブリット化~
自己組織能力を持つ液晶は、機能材料のシングルナノ構造を制御する重要な役割を果たしています。
当研究室では、異種材料間の界面を制御し、協同的相互作用を発現する、新規ハイブリッド材料の開発を行っています。半導体ナノロッドの一軸配向形成による偏光光学素子への展開や、光・電子機能材料へ向けたナノ構造を形成する新規液晶高分子の探索など、界面化学に基づいた材料・技術を探求しています。
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