Ni-Al フラックスを用いた窒化アルミニウム単結晶成長に関する研究

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窒化アルニミウム(AlN)は熱伝導率の高さ,高い深紫外光透過性,窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)との高い格子整合性を有するため,AlGaN系深紫外発光素子の基板材料として有望視される材料である.

当研究室では現在,以下に示す化学熱力学に基づいた新しいAlN単結晶育成法の開発を行っている.

Ni-Al合金中でのAlの活量係数は,例えば1873 KのNi-30mol%Alの合金において0.0154と低い.そのため,Ni-Alフラックスを用いることで,Alをフラックス中に安定に保持することができるとともに,1800から2000 K程度の温度で平衡に近い状態でAlNの生成反応を制御できる.

AlNの生成挙動の調査のため,当研究室で開発を行った電磁浮遊装置PROSPECTを用いてAlN生成挙動のその場観察を行なっている.実験の結果,AlN生成反応の駆動力の増大とともに,AlNの核生成頻度および成長速度が増大した.また,AlN生成の駆動力の増大とともに,生成するAlNの形態が平滑面を有した形態からデンドライド状の形態へ変化することがわかった.

NiAl

このAlN結晶成長挙動のその場観察およびその解析に関しては,米国のCase Western Reserve University との共同研究である.現在,上記の結晶成長挙動の観察とともに,実際のAlNバルク単結晶成長技術の開発も行っている.

研究成果

こちらの論文をご覧ください。

Masayoshi Adachi, Sonoko Hamaya, Yuji Yamagata, Andrew J. Loach, Justin S. Fada, Laura G. Wilson, Roger H. French, Jennifer L. W. Carter, Hiroyuki Fukuyama
In-situ observation of AlN formation from Ni-Al solution using an electromagnetic levitation technique
J Am Ceram Soc., vol. 103 (2020), 2389–2398.
DOI: 10.1111/jace.16960