超高温熱物性計測システム(PROSPECT*)とは,電磁浮遊法と静磁場を組み合わせ,溶融した金属・合金などの熱物性(比熱容量,熱伝導率,放射率,表面張力,密度)を高精度に測定できる世界初の装置です. 材料プロセス開発においては,高温融体の熱物性に対するニーズがあるにも関わらず,これまでは,ユーザーの要求を満たす計測装置がありませんでした. 今回,超高温熱物性計測システムを開発し,一般ユーザーに開放することによって,溶融金属の熱物性を誰でも高精度に測定することが可能となり,材料プロセスおよび融体の物性物理の発展に大きく貢献できることとなりました. PROSPECT開発経緯 本計測システムは,(独)科学技術振興機構(JST)研究成果展開事業の成果です.第1ステージでは,福山博之リーダーのもとで,計測システム本体の開発を行いました.第2ステージでは,塚田隆夫リーダーのもとで,本システムのユーザビリティを高めるためのソフトウェア開発を行い,現在,第3ステージでは,大塚 誠リーダーのもと,本システムの普及促進に向けた活動を行っています. 1st stage: H19 ・21年度 機器開発タイプ 高度ものづくり支援―超高温熱物性計測システムの開発 TL:福山 博之(東北大学 多元物質科学研究所) 参画機関:アルバック理工(株)、慶應義塾大学、首都大学東京、学習院大学、東北大学(工) 2nd stage: H21 ・23年度 ソフトウェア開発タイプ 超高温熱物性計測システム支援ソフトウェアの開発 TL:塚田 隆夫(東北大学 大学院 工学研究科) 参画機関:アルバック理工(株)、東北大学(多元研)、 慶應義塾大学、首都大学東京、学習院大学、(株)システムハウス 3rd stage: H23 ・25年度 開発成果の活用・普及促進 超高温熱物性計測システム装置の活用・普及促進 TL:大塚 誠(東北大学 多元物質科学研究所) テクニカルアドバイザー 比熱容量,熱伝導率,放射率測定 福山博之教授,大塚 誠准教授,安達正芳助教, 東英生研究員(東北大学多元物質科学研究所) 表面張力測定 日比谷孟俊博士(慶應義塾大学),小澤俊平准教授(千葉工業大学) 密度測定 渡邉匡人教授(学習院大学) 計測支援熱・流動シミュレーション 塚田隆夫教授(東北大学大学院工学研究科) ニーズ エネルギー産業:原子炉・核融合炉用材料,発電用タービン材料開発 航空宇宙産業:ロケット・航空機用エンジン及び構成部材開発 半導体・素材産業:結晶成長,鋳造,凝固,溶接などのプロセス開発 大学等研究機関:熱工学・材料工学・物性物理学 依頼測定機関・公立の技術センター:各種金属材料の依頼測定,材料開発 *PROSPECTとは, Properties and Simulations Probed with Electromagnetic Containerless Technique の頭文字をとったもので,英語で,望ましいことが起きる見込み、見通し、調査、探査といった意味があります.