4/30 第4回 界面電気現象

講義で使用したスライド, pdf形式684KB)
1.雨が降った後、道ばたには泥水ができている。泥水の中の大きな粒子はやがて沈降するが、小さな粒子はいつまで浮遊していて、濁っている。濾過することなく、透明な水を得るにはどうしたら、いいか。また、それはどういう理由によるのか、説明せよ
(略)第3回参照

2.分散と凝集。違いは何か。駆動力と、その本質について述べよ。
物質は本来、凝集するものである。これが基本的考え方。
分散しているのは何かの事情で、互いに反発しあっている、というもの。

後者を、静電的反発力、前者を分子間力=van der Waals力と考えると、2つの力、つまり、反発と引力で考えるだけでいい。これを考察の単純化と言う。
これらはあくまでも、平衡論的な考え方。
本当に分散するためには、速度論的な考えの注入が必要。
それが、ブラウン運動。
大きいものはブラウン運動をおこさないので、平衡的に分散条件にあっても分散しない。
詳しくは講義資料を参照のこと。

3.分散するために何が必要か、また凝集するためには何が必要か、物理化学的な考えで推論せよ。分散と凝集という現象を単純化するための指針を述べよ。
分散と凝集は、それぞれ、粒子同士が反発する力=静電的反発力と、分子間力から派生した考え=var der Waals力に支配されると考える。後者はいわば万有引力ともいえ、通常想定される力だが、前者はその力の源を実際にイメージしつつ考えねばならない。

一方、溶液に電場をかけると、粒子が動く、電気泳動現象が観察される。これは、金属、半導体、絶縁体を問わず、どんな組成・構造の粒子でも観察されることから、粒子表面の電荷によるものと理解されている。気泡が液中に存在する場合にもこの電荷が存在することがわかっている。

通常、気泡に電荷があるとは思えないが、この表面電荷は、気泡に優先的に吸着した水酸化物イオンによるものであろうと考えられ、また金属酸化物微粒子が液中で電荷を帯びるのは、表面の -O-Hの、O-H間の解離によるものと考えられている。
つまり、違うもの同士が接している、界面ならではの現象と見られる。
結局、表面電荷は、界面における、界面エネルギーが実際に目に見える形であらわれたものと考えて良い。
逆に言えば、表面電荷がないということは、界面エネルギーがゼロに等しいということになろう。

表面電位は、表面電荷を電位差で考えることのできるもので、電位差で界面のエネルギーを考えると考えやすいからである。

一方、同じ電荷を帯びた粒子同士は、電気的な反発を起こすことは用意に予想できる。従って、静電的反発力はこの表面電荷の重なりを嫌う粒子同士の、電気的な反発であるということがわかる。

もし、この反発力に分子間力による引力が勝つと、凝集し、負けると分散する、と考えると、考えやすい。
これが、分散・凝集の考え方である。