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ターゲットマテリアルとして、先ずは、直接遷移型半導体としては最大のバンドギャップエネルギ(6.04eV)をもつ窒化アルミニウム(AlN)に焦点を当てました。
AlNの発光波長は200nmにも迫り、UV-C領域の発光・受光素子を実現します。しかし、AlNは高融点
(3487K)化合物であり、高品質単結晶の育成が非常に困難なため、従来は、高い絶縁性・熱伝導性・耐熱性を活かした陶器やコンセント、送電線の絶縁材料、放熱板など「耐熱絶縁材料」としての利用に限られてきました。
そんな中、我々は、NH3-MBE法を用いたAlN結晶の成長に挑み、高品質AlNを得ました。これにより、AlNの発光特性をより詳細に調査することが可能になりました。 |
AlNセラミクスの応用 |
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AlNの発光は真空紫外線領域にあり、通常の光学系では発光を検出することができません。我々は、それに対応すべく新たに光学系を構築し、その発光スペクトルを観測しました。
左図にNH3-MBE法により様々な条件下で成長されたAlN薄膜のCLスペクトルを示します。(ただし、スペクトルはバンド端付近(NBE)の発光強度で規格化してあります。)
6eV付近には、励起子に関連した強いNBE発光が観測され、得られた薄膜がまさにAlN結晶であることを示しています。
これに加えて4.6, 3.8, および3.1eVをピークとする紫外発光帯(VL)が観測されました。バンド端付近の発光強度に対する深い準位からの相対発光強度は、V/III比の増加、成長温度の増加に従って減少する傾向を示しました。 |
AlN薄膜のCLスペクトル
[Appl. Phys. Lett. 90, 241914 (2007).] |
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