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概要

TAGEN FOREFRONT 05

FOREFRONT REVIEW07先端的な固体イオニクス研究から次世代技術の創出へFOREFRONT REVIEW河村研究室では、固体イオン物理を基本として、固体の中でイオンがどのように動くのか、さまざまな手法を用いて探求しています。とりわけ超イオン伝導性をもつガラスの研究を基盤に、近年注目を集めているリチウムイオン電池の材料開発など応用への取り組みを進めています。また固体イオン移動の探索、リチウムイオン電池の内部の検証を目的とした核磁気共鳴法による研究、撮像技術の開発も、大きな柱となっています。これらの研究を通して、リチウムイオン電池、全固体電池、さらに燃料電池など先端分野への応用に向けた取り組みを進めています。多元物質科学研究所所長サステナブル理工学研究センター固体イオン物理研究分野教授河村純一KAWAMURA, Junichi1953年長野県生まれ。1977年北海道大学理学部化学第2学科卒業、1979年北海道大学大学院理学研究科化学第2専攻修士課程修了、1981年北海道大学大学院理学研究科化学第2専攻博士過程中退、同大学理学部化学第2学科助手、1990年同講師、1998年フランス・リヨン大学客員助教授、1998年東京工業大学応用セラミックス研究所客員講師、2000年東北大学科学計測研究所助教授、2001年東北大学多元物質科学研究所助教授、2004年同教授、2010年同所長、2013年東北大学総長補佐。日本固体イオニクス学会副会長。アジア固体イオニクス学会会長。最近の先端的な科学技術の中で注目度が高いものの1つとして、2次電池、とくにリチウムイオン2次電池の存在があげられます。スマホやノートパソコン等にも使われ、現代生活の中でもはや一時も手放すことができないものとなっている。また環境・エネルギー問題から省エネルギー・無公害化社会の形成を背景として、電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車などにも使われています。更に、風力や太陽光などの自然エネルギーの平準化や、非常用・スマートシティ用の大型蓄電池にも使われ始めており、現代の社会基盤に直結した技術開発分野と言うことができます。こうした状況の中で、このリチウムイオン2次電池における性能や信頼性の向上については、多方面から関心をもたれています。とくに現状のリチウムイオン2次電池は有機電解質が用いられているため、寿命や安全性に課題を残しており、その改善策あるいはさらに機能の優れた全固体電池など別の方式による電池の開発は、社会的要請の高いテーマとなっています。河村教授の研究室においては、リチウムイオン2次電池の原理となっている固体イオン物理の基礎から研究を起こし、イオンの動きを計測する技術の開発とイオン移動のメカニズムの解明に力を注いできました。今、その技術を更に発展させて、リチウム電池の劣化・安全性の診断法の開発や、イオン伝導性固体いわゆる固体電解質を用いた全固体薄膜リチウム電池の研究に取り組んでいます。この分野における研究は、物理・化学・電気などの幅広い知識と経験を必要とする複合領域であり、また実験手段もレーザー光学や核磁気共鳴などの高度な技術を必要とします。一方で、実用化への指標にダイレクトに結びつく重要な役割を担っているため、河村研究室の先駆的な取り組みに大きな期待が寄せられています。http://www.tagen.tohoku.ac.jp/labo/kawamura/index_j.html41 TAGEN FOREFRONTTAGEN FOREFRONT42