ブックタイトルTAGEN FOREFRONT 05
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TAGEN FOREFRONT 05
FOREFRONT REVIEW06電子コンプトン散乱を利用したミクロの世界の電子のスピードガンFOREFRONT REVIEW物質の中ではいろいろな種類の電子が様々に運動しており、それが物質の性質を決めています。髙橋正彦研究室は、高速電子線を励起源とするコンプトン散乱を用いて物質内電子のエネルギーと運動量を測定する種々の新しい分光計測法を開発し、反応性や機能性など物質が持つ多様な性質の起源の解明を目指しています。多元物質科学研究所量子電子科学研究分野教授髙橋正彦TAKAHASHI, Masahiko1963年、長崎県生まれ。京都大学理学部卒業。京都大学大学院理学研究科博士前期課程中途退学。博士(理学)。東北大学科学計測研究所助手、文部省長期在外若手研究員(英国オックスフォード大学)、東北大学科学計測研究所助教授、岡崎国立共同研究機構分子科学研究所助教授、東北大学多元物質科学研究所准教授などを経て、2008年より現職。日本化学会学術賞などを受賞。日本物理学会、日本化学会、分子科学会、原子衝突学会に所属http://www.tagen.tohoku.ac.jp/modules/laboratory/index.php?laboid=42私たちの生存、文化、生活に深く関係する自然科学。科学者は自然現象を支配する個々の因子を十分に理解することによって、社会からのニーズに応えようとしています。そして、そのような理解は、電子と原子核という超微細な粒子からなる原子、さらにはそれら原子が組み合わさって構成される分子の構造・物性・反応に関する研究、すなわちミクロの世界を研究の対象とする分子科学の叡智が基礎となります。例えば、あらゆる生命現象はさまざまな構造の生体分子とより小さい分子の間の相互作用によって決まる素反応過程の協奏的な組み合わせであり、生命現象の本質を最終的に理解し、これを自由自在に制御することは分子レベルでの理解にかかっています。一般に、物質の中ではいろいろな種類の電子が様々に運動しており、それが物質の性質を決めています。「ミクロの世界の主役である電子の運動を、スピードガンのように測ることができたら…」。髙橋研究室では、そうしたミクロの世界の電子のスピードガンを体現するため、高速電子線を励起源とするコンプトン散乱を用いて物質内電子のエネルギーと運動量を測る種々の新しい分光計測法を開発しています。具体的には1電子運動量分光による分子軌道の運動量空間イメージング2多次元同時計測分光による電子・分子衝突の立体ダイナミクスの研究3時間分解電子運動量分光による反応を司る電子運動の変化の可視化という三つの課題を中心として、分子科学に関する先導的・開拓的実験研究を推進すると共に、科学・工学の様々な分野で次世代を担う学生・若手研究者の育成を目指して、研究を進めています。35 TAGEN FOREFRONTTAGEN FOREFRONT36