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概要

TAGEN FOREFRONT 04

“うに”状やナノロッドボールアレイ型ルチルなど、分子制御による特異な結晶形態を有するルチル型酸化チタン合成が可能となります。水中で光触媒に光をあてると、空気に含まれる酸素が励起電子により還元されると同時に、いろいろな有機、無機の化合物TERM INFORMATIONフォトセラミックス光に応答するもしくは光を信号として発信する機能性セラミックスの総称。蛍光体や光触媒以外にも、非線形光学材料、フォトニックス結晶、フォトクロミズム材料が知られている。持続可能社会を実現するためクリーンエネルギーを得ることができるため、現在力を入れて研究しています」。水分解光触媒を実用化するためには、太陽光下において高効率で駆動する光触媒を構築することが求められています。この課題に対して垣花研究室では、溶液法を代表とする「新規合成法の開拓」、ならびに「形態」および「露出結晶面」の制御を行うことにより高効率化を図っています。さらに新規光触媒を指向した「バンドエンジニアリング」をキーワードとして研究を行っています。「電子・正孔のポテンシャルを制御するバンドエンジニアリングは、可視光応答性光触媒を設計する上で有用な手法です。研究室では、酸窒化物光触媒について、酸化物との固溶体形成により光触媒の窒素含有量を調節することで正孔のポテンシャル(VBM)制御を可能にしました。VBMと水の酸化電位とのポテンシャル差(△E)を大きくすることにより酸素生成能を有する新しい酸窒化物光触媒の開発に成功しています」。水溶性チタン錯体を利用して精緻な酸化チタンの合成水分解以外にも光触媒はいろいろなところに活用されています。通常の空気中やが酸化されます。例えば、室内の空気中にあるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物が酸化される「無機化」がおこります。このように化学物質が分解除去される光触媒酸化反応は、さまざまな製品に応用されています.さらに応用がすすめられているのが光誘起超親水化現象。酸化チタンなどの光触媒をコーティングした表面に光を照射すると、うすい水の膜状にひろがるという表面の「超親水化」がおこります。ビルの外壁やガラスなどにコーティングすると汚れがつきにくく、「セルフクリーニング」効果が期待できます。その他、例えば酸化チタンは電池部材や誘電体などとしても利用できます。この酸化チタンには、常温常圧で8種類の多形が存在しますが、面白いことにそれぞれが異なる機能を示します。「従って、多形の作り分けは非常に重要です。研究室では、独自に開発した水溶性チタン錯体を原料に用いることで、合成が困難な多形を含む4種類の酸化チタンを合成することに成功しています」。さらに、水溶性チタン錯体の高い安定性を利用し様々な分子制御剤を用いることで、特異な形態を有する酸化チタン結晶の合成にも成功。このような特異な形態を有する酸化チタンが、高い機能を発揮することも見出しています。露出結晶面を制御一般的なセラミックス結晶は、秩序のないランダムな表面もしくは安定な結晶面のみを露出している。結晶表面で化学反応が進行する光触媒反応では、露出する結晶面の性質が重要な要素の一つとなっている。化学プロセスを駆使することで、露出する結晶面を制御することが可能で、条件によっては通常は露出されない結晶面を露出する結晶を合成することが可能になる。励起電子半導体である光触媒が光を吸収すると、価電子帯の電子が伝導帯へと励起される。その結果、伝導帯には励起電子が、価電子帯には正孔が形成される。これら励起電子・正孔によって酸化還元反応が誘起されることで光触媒反応が進行する。バンドエンジニアリング励起電子・正孔により酸化還元反応が誘起される光触媒反応では、伝導帯および価電子帯のポテンシャルが、それぞれ光触媒の還元力および酸化力を決める要素の一つとなっている。また、伝導帯と価電子帯のエネルギー差はバンドギャップと呼ばれ、光触媒の光応答性を決定している。そのため、光触媒の伝導帯および価電子帯のポテンシャルを制御することは、光触媒特性を制御するうえで重要な研究テーマであり、特にバンドエンジニアリングと呼ばれている。正孔のポテンシャル(VBM)制御光触媒の酸化力は、正孔のポテンシャルつまり価電子帯上端のポテンシャル(VBM)によって主に決定されている。バンドエンジニアリングのうち、価電子帯制御のことを特に、正孔のポテンシャル制御という。垣花研究室では、新機能の発現もしくは高機能化を目指して、様々な化学プロセスを利用した合成手法もしくは修飾処理の検討を行っています。酸化物多形の選択的合成や形態制御を可能にする金属錯体の開発をケミカルデザインの観点から行っています。TAGEN FOREFRONT 44