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概要

TAGEN FOREFRONT 04

イオン導電性セラミックスを電解質に用いるSOFC。分散型電源や大規模発電システムとして、実用化に向けた活発な研究が進められています。TERM INFORMATIONイオン輸送固体、液体あるいは気体の内部をイオンが移動する現象。イオンは電荷をもつため、イオンが移動することにより、物質(原子)の移動だけでなく、電荷の移動も同時に発生する。固体におけるイオン輸送の場合は、固体を構成するイオンのうち、特定のイオンが優先的に移動しやすいことが多い。応が、燃料極では、電解質からの酸化物イオンと気相中の水素による水の生成反応が起きます。これに伴い、電解質中では酸化物イオンが空気極から燃料極へ、外部回路では電子が燃料極から空気極へと移動します」。SOFCの一番の特徴は、700?1000℃という高温で作動するということ。高い動作温度を活かすことにより、電極反応に伴うエネルギーロスの低減が可能となっています。その他、「使用可能燃料が多様で、炭化水素燃料の直接導入も可能である」「電極に白金等の貴金属触媒を必要としない」「全固体電池であり、電解質の揮発・漏れや腐食の心配がない」等、他の燃料電池にはない優れた特長を持っています。わが国では、新エネルギー財団(NEF)主導のもと、2007年から1kWクラスの家庭用分散型電源を中心にSOFCの実証試験が始められ、2011年秋から家庭用SOFCコジェネレーションシステムが一般向けに市販されています。「固体高分子形燃料電池(PEFC)に比べても高いシステム発電効率(45%LHV超)が達成されています。次世代の環境調和型発電システムとしてのSOFCの高い潜在能力が確認されています」。固体イオニクスデバイスの高性能化に向けた原理の解明へ「一方で、SOFCの高温作動に起因する長期耐久性の問題も指摘されています。今後の本格的な実用化に向けて、さらなる性能および耐久性の向上が課題とされています」。高温で作動することによる耐久性の問題が出てきますが、かと言って温度を下げすぎてもメリットがなくなるといいます。600~650℃くらいがベストであると雨澤教授は考えますが、そのバランスを取ることが難しいといいます。「電極がどういう構造であればいいか?どのような設計をすれば効果的にエネルギーを得ることができるか?など、まだまだ開発指針が定まっていない状況です。固体イオニクスデバイスの開発・高性能化に向け、固体中をイオンが動く現象の原理解明を目指しています」。欠陥構造理想的な結晶では、原子もしくはイオンが3次元的に規則正しく配列しているが、実在の結晶では、理想配列からのズレが必ず含まれる。このようなズレを欠陥と呼ぶ。欠陥の密度は一般にはかなり小さいが、物質の様々な性質を支配することが多い。例えば、異種元素の添加等により欠陥構造を制御することで、イオン輸送を制御することがしばしば行われる。コンバインドサイクルある発電システムから出る高温排熱を回収・利用し、さらに別の発電システムを動かすことにより、高い発電効率を達成する方法。高温作動の固体酸化物形燃料電池を使用したコンバインドサイクルとしては、ガスタービン、蒸気タービンを組み合わせた、「トリプルコンバインドサイクル」が考えられている。酸化物イオン導電体固体でありながら、その内部を酸化物イオン(O2-)が移動できる材料。代表的な材料にイットリア安定化ジルコニア(Y2O3-ZrO2)が挙げられ、固体酸化物形燃料電池、自動車排ガス用センサー等の電解質材料に使用される。空気極、燃料極燃料電池は、通常の電池と同様、電解質と2種類の電極で構成される。水素に代表される燃料が反応する電極を燃料極、空気中の酸素ガスが反応する電極を空気極と呼ぶ。コージェネレーションシステム電気を作ると同時に、排熱を暖房や給湯等、熱として利用するエネルギー供給システム。これによりエネルギー利用効率を向上させることができる。コンバインドサイクルもコジェネレーションシステムの一形態である。SOFCの高温作動に起因する長期耐久性の問題も指摘されています。今後の本格的な実用化に向けて、さらなる性能および耐久性を向上させる研究が進んでいます。TAGEN FOREFRONT 38