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概要

TAGEN FOREFRONT 04

SiC(炭化ケイ素)が接合し、TiC(炭化チタン)が核生成した瞬間の界面の格子像です。固体界面の生成過程は複雑かつダイナミックで様々な多段階反応が伴う現象です。TERM INFORMATION濡れ液体が固体上に滴下されたとき拡がるか丸まるかで反応しやすさの指標とすることができます。今まで原子規模で観察された例はなく田中固体融合プロジェクトで初めて動的に把える事ができました。まず、高分解能透過型電子顕微鏡ででき上がった接合界面の原子構造を明らかにし、続いて同顕微鏡の試料ステージ上で活性金属ろう接反応の素過程を原子または原子集団レベルで直視し、反応生成層のナノ構造形成過程を世界で初めて解明しました。そして、高速高温X線回折装置の開発により、拡散接合での界面相変化を動的・定量的に把握し、時間─温度相関図および構成元素の拡散挙動を求めました。このその場(in-situ)観察により、セラミックス・金属、半導体・金属のような異種材料系の「融合現象の素過程」を、電子線、弾道電子などのナノプローブ、X線、超音波、レーザーなどのマイクロプローブの下で「動的」に把握することが可能になりました。さらに融合に伴い界面近傍の微少領域に生成・消滅する残留応力分布や格子欠陥、電子構造変化を定量的に把握し、融合現象および界面物性との相関を明らかにしました。「このようなナノからミクロまでの界面における動的挙動を理解すると、広く固体融合支配因子と界面設計に役に立ちます。また、融合界面の特性が規定する機械的・電気的・物理的諸特性を自由に制御できるようになります。このような界面設計原理の構築は、新規素子・新材料創製などを可能にしました」。応力・歪みという現象を科学的に検証することを可能にしかし、異種材料の接合において問題となることがあります。「応力・歪み」という現象です。異種材料界面近傍には機械的性質の差に起因する「応力・歪み」が不可避に残留することは知られていました。この現象を科学的に検証する手法の確立が求められていました。プロジェクトでは界面近傍に残留する応力や歪みの分布を実測することに成功しています。界面電子構造や機械強度への影響を把握することが可能になりました。「最小直径25nm域の残留歪み分布測定に成功し、応力・歪という現象を科学的に検証することを可能にしました。これにより局所物性との相関を議論できるようになりました」。従来までの研究では定量的に実証されていなかった、1%以下の圧縮歪みが、界面における電子構造に影響を及ぼすということを実証。この成果により、半導体デバイス産業に大きな寄与ができました。最近ではそれまで測定困難であった深さ方向の応力・歪を粗く伸びた結晶でも実測できる「X線2次元法」という手法を開発し、局所の寿命予測など安全安心への寄与が見込めるようになりました。ナノ構造形成素過程材料界面での融合素過程は原子規模でみると極めてダイナミックです。田中固体融合プロジェクトでは反応生成相の核生成、成長、相変態などのナノ構造変化を電子顕微鏡下でその場観察することに成功しました。格子欠陥固体内部をナノで観ると原子の並びが規則性を失った点状・線状の欠陥が必ず存在します。点状のものが点欠陥、線状のものの典型が転位です。異種材料界面は無理に接合しているために応力・歪とともに格子欠陥が発生しやすくその緩和法が課題です。残留応力分布固体に形を付与して材料・デバイスとし、システムに組み込まれる過程で様々な力が加わることで応力・歪が残留することが不可避です。特に異種材料界面近傍では弾性係数や熱膨張係数の差で大きな応力が深さ方向にも勾配をもって存在し接合強度などに影響します。応力・歪はテンソルとして扱う必要がありますが微小領域での分布を実測する手法は限られていたのを、田中教授はX線2D法で実測可能にしました。界面近傍に残留する応力や歪みの分布を最小50μmの領域で実測する機器を開発。最近は2次元検出器で粗粒でも、伸びた粒でも応力計測可能で、その機械強度への影響を把握することが可能になりました。TAGEN FOREFRONT 32