ブックタイトルTAGEN FOREFRONT 04
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TAGEN FOREFRONT 04
TERM INFORMATION窒化物半導体主に周期表の13族元素(Al、Ga、In)の窒化物またこれらが相互に溶解した固溶体を指します。これらを組み合わせると赤外から紫外領域までカバーする発光素子や太陽電池を作製できます。結晶成長4つの実験室に、サファイア基板窒化処理高温炉、高周波スパッタ装置、真空炉など、さまざまな高機能実験装置が備えられている福山研究室。左は最高1800度の高温下でのさまざまな雰囲気焼成テストを行う高温型縦型管状炉。右は窒化アルミニウムなどの単結晶成長装置。材料の単結晶を成長させるプロセスを指します。半導体分野では、結晶品質がその素子の性能を左右するので、結晶成長時の不純物の管理や結晶欠陥の抑制がとても大切です。常圧で単結晶AlN膜を作製する技術を開発福山研究室は窒化アルミニウム単結晶膜作製の研究の中で、薄膜を基板上に堆積させるという従来の発想ではなく、サファイア基板を表面から窒化させ、結晶性を飛躍的に向上させるという「サファイア窒化法」を開発しました。さらに福山教授のグループは、2010年、住友金属鉱山との共同研究により、常圧で窒化サファイア基板上に単結晶窒化アルミニウム膜を作製する技術の開発に成功しています。これにより、深紫外発光素子(LED)の発光効率が飛躍的に向上します。紫外発光LEDは多くの産業分野での応用が期待されていますが、とくに深紫外LEDは、殺菌効果も高く、医療やバイオ分野での応用が期待されます。「この研究の中で、Ga-Al系フラックスを用いた新しい液相成長法(液相エピタキシャル成長法/LPE法)を開発しました。この方法の特徴は、従来のLPE法で用いられているような高圧容器を使用することなく、常圧の窒素ガス雰囲気で結晶成長を行うことができる点です」と福山教授は説明します。窒化アルミニウムに代表される窒化物半導体は、紫外発光LEDなど次世代照明のほか、光触媒用光源や超高効率太陽電池など、環境、医療、工学、バイオ、情報、エネルギー、ナノテク分野での応用が期待されています。また、これまでのシリコンを中心とした電子デバイスに革新をもたらすハイパワー高電子移動度デバイスなどへの応用も考えられ、グリーン・イノベーションの推進にも寄与することができるため、注目度の高い研究分野となっています。液相成長法結晶成長法の一種で、結晶の原料を溶媒に溶かして溶融状態にし、過飽和状態から結晶を成長させる方法です。私たちはGa-Al融体を溶媒とする液相成長法を開発しています。バルク結晶膜に対してある大きさの塊をバルクと言います。窒化物半導体のバルク結晶が実現すれば、これを基板として用いることができるため、界面の格子整合性が改善され、素子の高性能化につながります。発光素子p型とn型の半導体を接合し、電圧を印加することによって接合界面から光を放つ素子で、電気エネルギーを直接光に変換するので省エネで長寿命が特徴です。英語の頭文字をとってLEDとも言います。深紫外発光素子波長が200~350nmの紫外光を発する発光素子を深紫外発光素子と言います。水銀フリーの低環境負荷、省電力、寿命照明、光触媒励起光源として水や土壌の浄化の他、医療分野では殺菌光源として、また、高密度記録用や樹脂硬化用レーザーなどさまざま応用分野があります。上/サファイア窒化法による高品質AlN薄膜。熱力学的安定図を用いて窒化条件を検討し、サファイア表面に高品質AlN薄膜を形成します。ただし膜厚は10nmと薄い。下/Ga-Alフラックスを用いた液相成長法。10nmだったAlN薄膜が2μmまで厚膜化に成功しました。TAGEN FOREFRONT 26