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概要

TAGEN FOREFRONT 04

FOREFRONT REVIEW04高精度の計測技術で未知の高温融体科学を拓くたとえば近年注目されているエネルギー産業分野の課題として、「火力発電所の熱効率をもっと向上させることはできないか」というテーマがあります。震災以降、原子力発電所が稼働していない状況の中で、稼働率が高まっている火力発電所について、こうした課題が浮上してきているわけです。「熱効率を上げるには、熱力学上の原理から作動温度を高くしてやればよい。もし今以上に高くするにはそれに耐える材料をつくらなければいけない」と福山教授は説明します。この材料開発の局面において、必然的に重要になってくるのが、「高温融体の熱物性測定」と言われる測定技術です。そもそも高温で融けている物質の物性データは、試料を収容する容器自体も反応を起してしまうなど測定が難しく、また融体が対流を起こしているため、正確な熱伝導率が得られないなど、合金はおろか多元物質科学研究所無機材料研究部門高温材料物理化学研究分野教授福山博之純金属においてすらデータが整備されていませんでした。しかし、正確なコンピュータシミュレーション設計を行うためには、高精度なデータが必須条件になってきます。福山教授が、東北大学など4大学と1企業が参画するプロジェクトのリーダーとして開発した、世界初の手法を用いた超高温熱物性計測システムは、このような産業的需要や、さまざまな新規材料開発の研究課題に応えることができる具体論を示したもの。文字通り未知の分野だった高温融体の物理科学に、新しい地平を拓く技術開発と期待されています。FUKUYAMA,Hiroyuki1965年生まれ。1988年名古屋大学工学部卒。1990年名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了。1993年名古屋大学大学院工学研究科博士課程修了、博士(工学/名古屋大学)。1993年名古屋大学工学部助手。1994年トロント大学客員研究員。1996年東京工業大学工学部助手。1998年東京工業大学工学部助教授。1998年東京工業大学大学院理工学研究科助教授。2004年東北大学多元物質科学研究所助教授。2007年東北大学多元物質科学研究所教授。2007年日本金属学会第65回功績賞受賞。2011年日本学術振興会賞。http://www.tagen.tohoku.ac.jp/modules/laboratory/index.php?laboid=17TAGEN FOREFRONT 24